*

憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (37) 『ベルリン・フィルと子どもたち』

公開日: : シネマDE憲法, 作品紹介

憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (37)
『ベルリン・フィルと子どもたち』
(初出2005年1月17日掲載 H.T.さん記)

37ベルリン・フィルと子どもたち

8歳から20歳代の、人種も社会的階層も様々で日々を無気力に過ごしていた250名の若者たち。ダンスの経験も、クラシック音楽への関心もない。
2003年1月、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者兼芸術監督に就任したサイモン・ラトル氏は、「教育プロジェクト」の一環として、ストラヴィンスキーのバレエの名曲《春の祭典》の演奏に際し、共演の踊り手としてそんな若者たちを選ぶ。

なぜ彼(女)らなのか?内戦で難民になり母国を後にしたり、貧困や親の離婚で刹那的になった若者たちは一向にやる気がない。しかし、サイモンは振付師とともに、若者たちの肉体の中に眠っているリズム、エネルギーに若者たち自身をして体ごと向き合わせていく。厳しいレッスンの数週間。若者たちは生きる喜びをステージいっぱいに躍動させる。
サイモンは人間なら誰でもが持っている内なる叫びの可能性を信じ、それに気づいてもらいたかったのだろう。

「これからの社会が最も必要としているのは、物を売る人間ではなく、いきいきと発想し、創造する力を持ったクリエイティヴな人間なのだということを、サイモンも、この映画自体も、熱く語り、演奏し、見せてくれているのだと思う」(湯川れい子さん・音楽評論家 05.1.11読売新聞)
「音楽にはもっと可能性がある。音楽は意味を持ち、人々の役にも立てる。そのひとつとして、音楽にできるのは、人々を分断するのではなく、ひとつにすることなんだ」(サイモン・ラトル 上記新聞)

さて、「祭典」が終わり、子どもたち、若者たちは彼ら彼女らを疎外し追い詰める生活の場に還っていく。サイモンが追求した(している)「教育」方法が、公教育を含め広く社会で共有される日を模索しながら。

【ジャンル】音楽
【制作年】2004年
【制作国】ドイツ
【原題】RHYTHM IS IT!
【監督】トマス・グルベ エンリケ・サンチェス・ランチ
【音楽】イーゴリ・ストラヴィンスキー「春の祭典」
【出演】250名のベルリン在住の子どもたち
ベルリンフィルハーモニー管弦楽団
サイモン・ラトル(指揮)
ロイストン・マルドゥーム(振付)

ad

Message

メールアドレスが公開されることはありません。

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>

関連記事

第65回憲法を考える映画の会『TOMORROW明日』2022年8月13日 3(7月25日版)オモテ

第65回憲法を考える映画の会『TOMORROW 明日』上映会

第65回憲法を考える映画の会『TOMORROW 明日』上映会 【上映会情報】 第65

記事を読む

第67回「日本原」 (2022年12月25日)入稿時オモテ

第67回憲法を考える映画の会『日本原 牛と人の大地』上映会

第67回憲法を考える映画の会『日本原 牛と人の大地』上映会 ***************

記事を読む

第76回「アトミック・カフェ」20240629案内チラシ(20240607)テスト版表

第76回憲法を考える映画の会『アトミック・カフェ』

第76回憲法を考える映画の会『アトミック・カフェ』 第76回憲法を考える映画の会 日

記事を読む

38マイ・ボディガード

憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (38) 『マイ・ボディガード』

憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (38) 『マイ・ボディガード』 (初出2005年1月24

記事を読む

jahada

ジャーハダ イラク 民衆の戦い

あきらめるな! 米軍の撤退を求める民衆の闘い──武器を持って闘うのではなく、集会やデモ行進で

記事を読む

野獣たちのバラードリーフレット

ありふれたファシズム─野獣たちのバラード─

ありふれたファシズム─野獣たちのバラード─ の作品紹介 1971年日本での公開時は、邦題が『野獣た

記事を読む

41NVMK63SXL-1

白バラの祈り

白バラの祈り ヒトラー独裁政権末期、人々に“自由“を呼びかけた“白バラ“のメンバーで、戦後、ド

記事を読む

桃太郎 海の神兵

憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (28) 『桃太郎 海の神兵』 (初出2004年11月15日掲載 H.T.さん記)

憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (28) アニメーション『桃太郎 海の神兵』 (初出200

記事を読む

火垂るの墓

憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (59) 『火垂るの墓』

憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (59) 『火垂るの墓』 (初出2005年8月1日掲載)

記事を読む

速報 辺野古のたたかいチラシ表

沖縄ニューズリール『速報 辺野古のたたかい』のご案内

映画「沖縄ニューズリールNo.6『速報 辺野古のたたかい』2014年7月」のご案内 13日朝、

記事を読む

ad

ad


第85回「レーン宮沢事件」案内チラシ案(2025年10月26日入稿原稿)
第85回憲法を考える映画の会『レーン・宮沢事件 もうひとつの12月8日』

第84回憲法を考える映画の会 『レーン・宮沢事件 もうひとつの12月

映画「日本の戦争シリーズ2
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (62) 「映画『日本の戦争』シリーズ上映会」

憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (62) 「映画『日本の戦争』

61東京裁判
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (61) 「戦後60年にあたっての各地で映画上映会企画」

憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (61) 戦後60年にあたって

60宇宙戦争
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (60) 『宇宙戦争』

憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (60) 『宇宙戦争』 (初

火垂るの墓
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (59) 『火垂るの墓』

憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (59) 『火垂るの墓』 (

flyer_1
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (58) 『ひめゆりの塔』

憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (58) 『ひめゆりの塔』

→もっと見る

PAGE TOP ↑