憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (17) 『誰がために鐘は鳴る』
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (17)
『誰がために鐘は鳴る』
(初出2004年9月6日掲載 H.T.記)
アメリカの文豪アーネスト・へミングウェイ(1899-1961)がスペイン内戦(1936-39)を舞台に描いた名作の映画化。
ゲーリー・クーパーとイングリッド・バーグマンによるロマン映画として知られているが、背景となっている史実がダイナミックである。
スペインでは1931年に王政が倒れ、共和制が樹立された。
1936年の選挙では、共和党、社会党、共産党等によって人民戦線政府が成立した。
しかし、ファシズム独裁や王政を望む勢力はこれを不満として軍人のフランコが武装反乱を起こし、激しい内戦になった。
ナチス・ドイツとムッソリーニ率いるイタリアは反乱軍を支援した。
この時のドイツ空軍によるスペインの都市・ゲルニカへの無差別爆撃を描いたのが、ピカソの「ゲルニカ」。
米英仏はそれぞれの思惑から不干渉政策を採った。
これに対して、世界各国から知識人や労働者が義勇兵(国際旅団)としてスペイン政府の支援におもむいた。
行動派であるヘミングウェイも義勇兵・ジャーナリストとして参加した。
しかし、結局、物量に勝る反乱軍は勝利し、人民戦線政府の倒壊に成功する。
映画では、ゲーリー・クーパー演じる米人スペイン語教師の義勇兵ロバート・ジョーダンが主人公。
ジョーダンは、フランコ側の占領地域に潜入し橋梁などの重要施設を爆破する任務を与えられる。
そして、この地域でスペイン娘マリアに出会い、任務遂行のわずかの期間にマリアと激しい恋に陥る。
やがてジョーダンは、馬に乗って逃げる時、転落して足の骨を折ってしまう。
彼は、マリアやみんなを助けるために、残って敵と戦う道を選択する。
歴史と向き合って生きた故の国境を越えた愛と死。最後に鳴り響く鐘の音はレクイエムに過ぎないのだろうか。
ヘミングウェイは書いている。
「誰がために鐘は鳴ると問うなかれ。そは汝の弔いのために鳴る」
| 【放送】 NHK・BS2 9月9日(木)深0.00~2.43 【年代、国】 2001年 アメリカ ユニバーサルスタジオによるワールドプレミア版 (原作 1943年 アメリカ) 【原題】 For whom the bell tolls 【監督】 サム・ウッド 【出演】 ?ゲーリー・クーパー インクリッド・バーグマン エイキム・タムロフ カティナ・パキシノー 【原作】アーネスト・へミングウェイ |
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