憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (16) 長編記録映画『遠い夜明け』
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (16)
『遠い夜明け』
(初出2004年9月2日掲載 I.M 記)
アパルトヘイト時代の南アフリカで、抵抗運動に立ちあがったデンゼル=ワシントン扮するスティーブ=ビコと、ビコたちを取材した白人記者ドナルド=ウッズの物語。
ビコは、抵抗運動のリーダーで、演説も議論もうまい。
リベラルな記者ウッズを黒人居住区や病院などに案内し、自分たちが要求していることを示し、白人の作法を覚えれば同じテーブルにつくことを認めようとするリベラルな白人たちとの「差」を気づかせる。
ウッズは、次第にビコたちの運動に共感するようになるが、そうしたウッズの家族にも嫌がらせや脅迫が届き、遂にはビコも虐殺されてしまう。
ウッズは、真実を明らかにするため、国外脱出を決意する。
この作品は、記者ウッズの原作をもとに製作された。
大規模なエキストラも使いながら、アパルトヘイトの実態を観るものに訴えている。
なお、ビコの葬儀の際に歌われた「Nkosi Sikelele iAfrika」は、アパルトヘイト時代には抵抗歌として歌われていたが、アパルトヘイトが終わった後の1994年、それまでの国歌「Die Stem van Suid-Africa (The Call of South Africa)」とあわせて国歌となり、1996年には、2つの歌を合わせた「Nkosi Sikelele iAfrika Die Stem」が国歌となった。
ちなみに、アパルトヘイト時代には、制裁としてスポーツの国際大会参加などが禁止されていたが、アパルトヘイトが終わり、その制裁が解け、最初の黒人と白人の合同ラグビーチームがワールドカップに参加した際には、当時のネルソン=マンデラ大統領は、国歌として吹奏された「Nkosi Sikelele iAfrika」のパートを、観客席で感慨深げに目をつむり聞いていた。
【原題】 CRY FREEDOM
【製作年】 1987
【製作国】 製作国
【監督】 リチャード=アッテンボロー
【出演】 ケヴィン=クライン
デンゼル=ワシントン
ad
関連記事
-
-
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (60) 『宇宙戦争』
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (60) 『宇宙戦争』 (初出2005年8月8日掲載・F.
-
-
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (59) 『火垂るの墓』
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (59) 『火垂るの墓』 (初出2005年8月1日掲載)
-
-
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (28) 『桃太郎 海の神兵』 (初出2004年11月15日掲載 H.T.さん記)
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (28) アニメーション『桃太郎 海の神兵』 (初出200
-
-
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (7) 『サトウキビ畑の歌』(完全版) 2004年7月26日 H.T.記
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (7) 『サトウキビ畑の歌』(完全版) 2004年7月26
-
-
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (11) 『ひまわり』
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (10) 『ひまわり』 2004年8月16日 H.T 記
-
-
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (79) 『12・13 映画人九条の会一周年集会
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (79) 『12・13 映画人九条の会一周年集会』 (初出
-
-
映画「天から落ちてきた男」
映画「天から落ちてきた男」 【上映情報】 第49回憲法を考える映画の会 日 時:2019年
-
-
オマール、最後の選択
オマール、最後の選択 映画『オマール、最後の選択』について 主人公のオマールは、
-
-
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (87) 『ホテル・ルワンダ』
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (87) 『ホテル・ルワンダ』 (初出2006年1月30日
-
-
死んどるヒマはない ─益永スミコ86歳
益永スミコさんは、1923年大分で生まれた。教育勅語で育ち「軍国少女」だった彼女は、助産婦と

