市民の運動、活動について考えたこと
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ごまめのはぎしり
市民の運動、活動について考えたこと
7月1日に考えたこと。個人的な意見です。
「閣議決定で解釈改憲」というコトバはもう使いません。
「改憲ではない」と安倍さん自身も言っているのですから、憲法は改正にも改悪にもなっていないし、
日本国憲法は生まれたときの形のまま存命です。
「政府が臨時閣議で憲法解釈の変更を閣議決定」と言うことであって、 その解釈が具体的な法律にする時にその解釈が如何に矛盾をかかえ、論理が破綻しているものかはこれから国会で論議され、その解釈が反映された法律に対して憲法違反であるかないかは最高裁が弾劾裁判所として判断しなければならない義務です。それらを経ないと行政府は具体的に何も行使できないはずです。
そして市民運動はその解釈に賛同できないことを訴え、世論を高め、そうした法律の成立に反対していく余地はまだあるからです。
先週、今週、そうした反対する集会やデモ、集まりに出来るだけ参加するようにしようとしたのですが、昨日今日は1日の午前中、官邸前に行っただけでした。
(もし官邸前の集会に行かれた方がいらっしゃったら、そこで感じたものを教えてください)
ささやかではありますが、いまこうした運動について考えたことをお伝えします。
私たちはこれから市民運動(直接示威行動)の場をより多くつくり、その参加者を増やして行くことを考えたいと思いました。とくにこの1年「憲法を考える映画の会」という活動をして知り得たこと、わかったことをもとに「市民運動(直接示威行動)ってなんだろう?いま何が欠けているのだろう?」と考えました。
❶ 市民運動は、本質はとてもフィジカルなものではないかなと思ったとこと。
物理的、肉体的に会場に体を運び、直接話を耳で聞き、デモでは声を発し、体を動かし、それら体で感じてそこからいろいろ考えて自分なりの考えをつくると言うことなのではないかな、と、
そうした体験、経験が集まって「市民の運動や活動」をつくっていくことが大切なのではないか、と思いました。
たとえば集会、デモなどがそうです。もともと自分の意志や気持ちを声に世の中に訴え、社会を間違った方向にしたくない、と集まるわけですが、参加することで自分の考えと同じ人がいることを知り、力づけられ、また多くの人の話を聞くことで、自分の考えがより確かなものになると感じることが出来るのだと思います。
この「直接参加することの意味」は、私たちが『憲法を考える映画の会』をやってきた上で目標やねらいとしてきたこととも一致します。
私たちは、「映画を一緒に見る」と言うことを通して、より多くの人に集まってもらい、「一緒に同じ映画を見た」と言うことから話し合うきっかけを得る、機会や場をつくることができるのでは無いか、と思ってこの会を始めました。
14回そうした場をつくったことを通して、ふつうではなかなかお話を聞いたりする機会のない世代や生活基盤、もちろん考え方も異なる人と出会い、お互いに話を聞き、話し、一人一人がまた新しく考える機会がつくれました。
自分たち自身が実感です。
ですから、デモでも集会でも、講演会や学習会、あるいは私たちがやって来たような「映画を見て考える会」のように直接体を使って参加し体験することが大切であり、そうしたことこそが市民の運動や活動をよりしっかりとした拡がりをもってくるものになると今思っています。
(同じ映画を見るのでも、一人部屋でテレビモニターで見ているのと、多くの方と一緒に見るのとでは随分違ったものになります。映画の後、参加した人の話を聞いて、自分の感じ方と違ったところで感じている人の話を聞いてなるほどと思ったり、また映画に描かれている背景など知らなかったことがたくさんあると感じてもっと知りたい、と思ったことはたびたびでした)
❷ 写真、イメージ、ビジュアルなものって大事だな、と思いました。
【反原発デモの集会】
新聞は読んでそういうことがあった、大勢の人が集まったらしいということは知っていました。でも私は2011年、反原発のデモにあんなに人が集まったと言うこと、原発に反対している大勢の人が声を上げていることはイメージできていませんでした。それが年末、明治公園の集会をとらえた写真を、デパートで行われた報道写真展で見てほんとうにびっくりしました。 こんなに人を集めているんだ、と。
そしてそれまで、ずっと新聞やTVニュースがそうしたわかりやすい写真やニュース動画を流していないという事実に気がつきました。多少なりとも反原発の運動に関心をもっていた私がまったくそれらを見ていなかったことで。「何も知らされていないんだ」と気づいて、一度参加してみなくてはならないと思い、官邸前や日比谷公園、代々木公園の集会に出かけました。
そこで自分で見て、また感じたことが報道ではやはりわかりやすいイメージで報道されていないことも確認しました。 確かにニュースできょう代々木公園で何万人の集会がありました、とは言っています。 映像はあまり多いとは言えないデモの一部を追っているものでした。空から見た映像をひとつ入れれば、こんなにたくさん人が集まっている、とわかるのにどうして、と思いました。「こんなに原発の再稼働に反対しているんだ」「自分も同じ気持ちでいるから今度行ってみようかな」、と思う人も出てくるのにです。
そう思ってほしくないから、そう思う人が増えては困るからきっとメディアに圧力をかけているのだろう、そう実感しました。
だから私たちは市民の直接運動を拡げていくためにも、体を運んで参加し、そこで見たこと感じたことをわかりやすい写真に撮って、あらゆる方法で知らないでいる人に知らせていくことに努めましょう。
それを見た人がイメージを持って、「なんでこの人達はこんなに集まって何を言おうとしているのだろう」と思うことがはじまりになると思います。それもあちこちで見たらなおさらです。
ですから私たちもなるべ集会やデモ、講演会、学習会などの報告やお知らせをする時にはなるべくそのとき撮った写真や配られたチラシなどを添付して「ビジュアル化」に努めています。
それらが見ていて、魅力的なものならなおいいと思います。
もともと『憲法を考える映画の会』も「映画という方法を使って人の集まる会」にしようと始めたのも同じところにありました。映画は人の興味をひくと言うためにとても工夫されたものであるし、優れた作品は当然魅力あるものでいろいろ考えさせられる、一緒に映画を見ることでイメージを共有できるものです。それを利用しないって言うてはありません。
❸ 情報や思い、考えたことが伝わるのか、伝わらないのか
市民運動の「場」、そこの集まるのはたいてい同じ考えや同じ志をもっている人です。
それはそれで自分たちの考えを試し、より強いものにしていくと言うことでとても重要なことです。
でもなかなか新しい人が入ってくるにはハードルが高いものです。それは❶に述べたように実際に体を運んで参加すると言うことは、なかなか大変でおっくうと言うことがあります。
また、参加したことのない「外の人」から見ると、「中の人」はどうしても「自分たちは分かっているもの同士(同志)」、「よく知っている、意識が高い」ということが、排他的に感じられてしまうこともあります。
つとめて、こういうところに来たがらない人はどう感じているのか、その視点に立って、どのようにそういう人にこそ、伝えることが出来るのかを考えて、工夫していくことが大切だと思います。
「憲法を考える映画の会」を続けて行く中でも、そうしたことを意識して来たつもりです。
えらそうなことを書いてしまいました。
でも、いまこそ、あらためて市民の運動や活動をつくっていかなければならない、拡げていきたいと思ったことからです。
憲法市民講座で高田健さんの講演を聴いたときに、「(解釈改憲や秘密保護法、集団的自衛権に反対するために)では自分たちどうしたらよいのでしょう?」と質問したことがあります。
答えは「反対する団体や市民を結集して集会やデモといった直接行動をつくってひろげていくこと」と話されたと思います。
そのときはよく分からなかったのですが、だんだんそれしか無いなと思うようになりました。
栁沢協二さんの話にも、「どんな戦いにも『潮目』はある。流れが逆に流れ始めるところがある。そうしたことが押し返すことにつながる」という話がありました。「閣議決定があったからと言って、それが終わりではなく、はじまりである」と言っておられました。
これからも異議を唱え、「おかしいよ」と言い続けていくことことが出来るのは市民の運動です。
政治家が頼りにならなくて、まともでない(もちろん少数でもがんばっている人はいますが)現在、市民の運動が一番力を出せるのだと思います。
「書を捨て、街に出よう」ではないですが、❶直接体を運んで参加する機会を大切にし、❷出来るだけイメージに訴える工夫をし、❸自分たちの考えとは違う人にも、伝えていこうとする工夫をして、市民運動や活動という形を拡げていきたいと思います。
そのひとつは、次の「憲法を考える映画の会」7月19日(土)14時、東京体育館(千駄ヶ谷)『ファルージャ』来てください。
(市民運動や活動を抑えようとする動きも一貫して続いています。「秘密保護法」が施行後ますます見えないところでどんどんエスカレートしていく怖れがあります。実際自主規制のようなものが始まっているのはみなさんも感じておられるでしょう。そうしたことについて、「ぶっとばせ弾圧!7.12新宿デモ」のご案内、http://kenpou-eiga.com/?p=797の中でまた少し考えていることをお伝えさせてください。)
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