新聞の投書「『人を殺さない』が憲法の原点」から
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ごまめのはぎしり
この1週間くらい考えていたことを少しお伝えします。個人的な感想です。
集団的自衛権の行使容認について公明党の合意が得られたので、安倍政権は7月1日に閣議決定する方針で、解釈改憲に向けての一歩を踏み出そうとしています。
閣議決定をしたからって、それが何するものぞ、何ら法的な決定ではないのだから「その決定は間違っている」と間違った決定をした政権を交代させればよい、と吠えて少しでも自分を納得させたいところなのですが、これから行われるであろう「関連法案の国会審議」でも、与野党とも全くやる気が感じられ感じられない情況で、結局どんどん進められてしまうのかと言った敗北感がすでにあります。
それでも声を大きくして「反対」「許さないぞ」と集会、デモと言った直接行動で叫ばなければますます彼らの思うつぼで、反対など無かったようにとんとんと進めて、取り返しのつかないところへ国民を連れて行ってしまう、とあせるばかりです。(すでに取り返しはつかないところに来ているのか)
先週、元防衛官僚の栁沢協二さんの話を聞いて、安倍首相や彼が押し進めようとしている安保政策がおよそ論理というものがないということをあらためて知りました。「何のために」「なぜいま必要なのか」が無くてただ「やりたいからやる」の心情のみで押してきて、それが通ってしまおうとしている。人の話はまったく聞かない、論理は全くかみ合わないし、かみ合わせようともしない。
彼を、お坊ちゃまで頭が悪い、駄々っ子ですぐ投げ出す、と嘲笑を込めて分かったようにいう人がいます。小心者だとか、小物だとか馬鹿にしていた政治家に引きずられていって、あれよあれよと取り返しのつかないところに行ってしまい、結果、多くの血が流されてしまった例は過去に何度もあります。ヒトラーだって、ムッソリーニだって、東條英機だってそうです。嘲笑して困ったことだといいながらその流れを止めようとしないでいるうちに、失わなくてよい命まで奪われるようなところに国をもって行ってしまったのです。
何をやりたいのか分からないと言われることの多い安倍さんですが、はっきりしてきたことはあります。
精神論だけでなく戦前回帰を図っている大元にあること。具体的には彼は「戦争で儲けたいのだ」と言うことです。 私腹を肥やすという儲け方ではないでしょうが、儲けたい人たちが彼を支えていると言うことです。
武器三原則を緩めて武器輸出を可能にした。つまり産業として人を殺す道具をつくって売りさばいていくことにした。 ちいさな記事でしたが、東京新聞6月26日版に「軍需振興に補助金 官民で国際共同開発 武器禁輸撤廃で」とあります。 私たちの税金を使って人殺しの道具の開発が行われ、そうした企業としては売れなければ、つまり消費されなければ企業として成り立たなくなるので戦争を切望することになります。27日の朝日新聞には「軍にODA解禁提言 外務省有識者懇談会」とあります。着々と「死の商人」の道を作っています。つまり原発輸出のセールスマンを買って出ていることも同じ根ですが、日本人であっても外国人同士であっても、人が血を流す道具を作って売る、そして儲けるためにこれまでのブレーキを次々と外して行くことを着々と進めています。
人に血を流させ、儲ける方法を着実にめざしている、そしてそれで金儲けしたい人が後ろで支えています。それはとりもなおさず戦前の財閥と軍が結びついてやって来たことであり、安倍さんのおじいさんもそうやって政治的な力を付けてきました。アベノミクスは人間同士に殺し合いをさせて景気を回復させる、それができるように戦争をできる国、戦争を作り出す国にする、そのためにも日本の若者もある程度血を流さなくてはならないという集団的自衛権の「論理」が成り立ちます。
その反面、今までの軍隊に関係した支援をODAが禁じてきた例が示すように、日本が戦後70年間平和を志向する国家としてやっと評価を得てきたことを次々と壊していきます。アメリカと同じように人と人とを殺し合いさせてそれで利益を上げる国として見られてしまいます。その結果が海外にいる日本人をテロによって脅かすことになります。憲法第9条を有名無実化することで今まで気づき上げてきたかけがえのない日本に対する評価は地に落ちます。長い目で見れば大きな利益と安心を生む可能性のあるものが目先の儲けで失われ元には戻りません。
それにしても平和の党である公明党はどう納得したというのでしょうか?限定的であるから、とか個別自衛権と同じ範囲での行使であるからとか、地方代表者に説明に追われているようですが、戦争に限定は通用しないでしょう。人が殺し、殺されているときにどこまでと限定的にできるわけが無いし、それを遠く離れたところにいる誰が決めることができるのですか。 この1年間で安倍さんたちが行ってきたことを思い出しても、「限定的と行っているから信用に足る」とまともに考えているのでしょうか。言葉を変えただけで自民党は考えを引っ込めたと思っているのでしょうか。平和の党という立党の精神を捨てても連立に残ることはそんなに意味のあるものなのでしょうか。
そうした中で今朝の新聞の投書欄の一文です。心情を述べたものでしょうが、私が憲法に寄せてきた気持ちにぴったりと合いましたので転載させていただきます。こうした気持ちから智恵を集めて少しでも多くの人たちに、「この国の政府は間違った道に進もうとしている」と声に出して伝えていかなければならないと思います。S.H.
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