「戦争はいらぬ、戦争をさせぬ世へ」第11回 むのたけじ反戦塾
「戦争はいらぬ、戦争をさせぬ世へ」第11回 むのたけじ反戦塾
日時:2025年2月24日(月・休)13:30〜16:30
会場:文京区民センター3C会議室 (30名)(地下鉄春日駅2分・後楽園駅5分)
プログラム(予定):
❶ 参考上映『東京外国語大学対談シリーズ100歳ジャーナリストむのたけじさん』(77分:13:35〜14:50)
❷ フリートーク(90分:15:00〜16:30)
・第1回から第10回まで話し合われてきたことをもとにさらにそれぞれ、今、考えていること、
問題だと思うことを出し合う
・「むのたけじ反戦塾」話し合いの成果の発信に向けて
・8月、戦後80年、昭和100年、そして安保法制10年に向けて
「戦争はいらぬ、戦争をやらぬ世へ」実行討議会計画を
※参加希望者はご連絡お願いします。
問合せ先:090−4599−5314 武野 E-Mail:dmuno@jcom.home.ne.jp
「戦争はいらぬ、戦争をやらぬ世へ」
むのたけじさんのこの言葉を手がかりに、2022年12月以来、10回の学習会を行ってきました。
毎回、むのたけじさんが反戦に向けて語った映像を見て、そこで感じたことを語り合うことから、
それぞれ自分たちで考えている、社会や政治の情勢、問題を出し合い、話し合ってきました。
今、2024年11月の10回までに話し合われてきたものをもとに、自分たちの考えてきたことを発信していけるようにまとめています。
11回、12回(2025年5月を予定)の反戦塾は、そうしたまとめと、どのようにそれを伝えていくかについて話しあっていきたいと思います。
第11回反戦塾に向けて――「いまを戦前にさせない」ために
武野大策
2025年が明けました。今年は、戦後80年という区切りの年になります。さらに、そのような区切りというだけでなく、今後の世界の動きをみると、人類が生存できるかの分水嶺になる年のように感じられます。むのたけじの「希望は絶望のど真ん中に」で、述べられている「人類の余命は40億年か、40年か」を決める年になるかもしれない。そのこともあって、むのたけじ反戦塾はこれまで話し合ってきたことを再度まとめて出したいということになるわけです。
2022年2月に始まったロシアのウクライナ侵略は続いている。23年10月に始まったイスラエルのパレスチナのガサへの侵略は虐殺行為が続いましたが、一応停戦の合意がなされました。しかし、最近では、トランプ合衆国大統領がデンマーク自治領のグリーンランドを獲得の話をしたりして、また、西側がよくいうのは中国の海洋進出もあります。いわゆる軍事大国と呼ばれるところの横暴がめだちます。こういう状況で、日本政府も厳しい財政事情の中で軍事予算を多くして軍備を強化しています。しかも、世論調査を見ると、その方針を支持する人が多い。だから、第二次世界大戦前のようだといわれるのだと思います。
しかし、それで良いのだろうか。第二次世界大戦では、研究者により幅がありますが、広く流布しているものは5000万人から8000万人の死者がいたとされます。第一次世界大戦の戦死者の推定が900万人から1500万人以上と言われていますから、第一次から5倍以上です。もし核爆弾が多数ある現在、第三次世界大戦が起きたら、どれだけの被害が出るか計り知れません。しかも、被害が非戦闘員の市民が負うことになることになるのです。
このこと一つとっても、軍備を整えて備えるという選択肢はなく、いかに戦争を起こさないようにする努力が必要であると考えます。加えて、日本は資源のない国です。食料自給率も低いです。貿易が止まることがあれば生存できない国です。このことは世界的で見てもほぼ同じで、グローバル経済が広まった現在では戦争により自由貿易が成り立たなくなると、経済が成り立たないのは明らかなことです。そのように考えると、憲法9条を守る人たちを頭の中に花でも咲いていそうなほど能天気なことをいう「お花畑論者」といわれるが、私はやみくもに武力を増強するほうがそれにあてはまるのではと思います。
それでは武力に頼らないで国を守るとは、何があるか。そうした議論をするのも「むのたけじ反戦塾」です。もちろん、日本は憲法9条を守っていれば、それで良いというものではありません。平和を実現するには多くの努力が必要です。一般でも言われることはまず「外交」です。国家間の紛争を裁く国際機関、今は国際連合に代表されるものだと思いますが、ここに頑張ってもらうのもあります。また、我々も日頃から他国の理解を深めて、いわば民間外交のようなこともあると思います。国際情勢の変化に常に目を光らせてそれを世の中に知らせるジャーナリズムの仕事も役立ちます。さらに、戦争などは経済の落ち込みなどから起ころことが多いので、経済を安定化させるといったこともあると思います。そして、最も大事なのは、国民が平和を愛することです。そのことを声高々に発言することなど、いまの社会体制では平和を維持することは大変な努力が必要です。
むのたけじは、もちろんこうした平和を維持するための努力は大切ですが、社会体制を工夫して、黙っていても平和である「戦争のいらぬ やれぬ世へ」を作れないかと考えていました。戦争が農耕創始で富が蓄えられるようになり、国家ができてからするようになってから起きているから、そうした社会は可能であると考えていました。しかし、現実にどのようにすればそれを実現できるかというような具体的方策を提示することがありませんでした。もちろん、今私たちは石器時代や縄文時代に戻ることはできません。新たな体制を作っていくことが求められると思います。
そこで、私たちが考えていかねばなりませんが、これまでも戦争にならないようにするためのたくさん試みがありました。代表的なものは、第一次世界大戦後、その反省のもとに国際連盟が作られましたが、その役割を果たせませんでした。第2次世界大戦には国際連合が作られましたが、これもまた、現在起きていることに十分対応できていません。こうしたことに関して、むのたけじは日本語の訳語が国際連盟、国際連合の体質をよく表していると言っていました。国際の「際(さい)」は物と物とが接するところという意味ですから、これらの組織が行なっていることは国と国をすり合わせることばかりで、中身に入っていかないから、物事を解決できないと言っておりました。
大きな組織を作ったりしても思うようにいかないものです。さらに国のあり方をお大幅に変更するといった大胆な変革をしなければ実現できないように考えるけど、案外簡単なことでも大切なような気がする。この反戦塾でも何回も取り上げていますが、むのたけじが2016年の有明防災公園の憲法集会で指摘したことです。第2次世界大戦で日本は無惨な敗戦を経験して、残ったものが憲法9条戦争放棄です。この憲法9条を、戦後日本の精神的支柱にして戦後復興を成し遂げ、しかも戦争に直接加担をせずにこられたことを強調しています。こうした結果、事故や傭兵で行った人などを除くと、戦後70年間以上国民の誰も戦死させず、他国民の誰をも戦死させなかったと強調した。
私はこうしたことが成し遂げられたことは、もちろん米国の核の傘の中にあるということがあるが、憲法に戦争放棄ということを書いて、それを国民が大事にしてきた要素が大きいと思う。それなのに、安倍政権は集団的自衛権容認を閣議決定し、2016年それを運用する決まりを定めた安保法制を決めている。これにより、憲法9条第1項にある「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」が無力化され、日本の安全保障環境は大きく変えられたのです。
この変更については、多くの国民が国会を囲んで反対運動をし、法案が成立後、全国規模での安保法制違憲訴訟が行われ司法の判断がなされました。その判断は実際に被害を受けていないから判断ができないということで棄却というもので、私たちから見れば国家の重大な方針変更に、司法が判断しなかったということになります。今後、この変更によって、軍事費が国家予算の中で増大することも踏まえて、これまで長いこと維持してきた政策変更が必要であったかを見ていくことです。そして、日本において平和主義が外交の中心に据え、一生懸命ものづくりして経済発展をさせた時期があったことは少なくとも次の世代に伝えなければならないことです。
さらに、こうした変更をする要因は、確かに尖閣諸島に中国の漁船や海警局の船が来たということがあるけれど、アメリカの中国封じ込め政策の一翼を担うことにあることは認識するべきことです。これはアメリカのトランプ大統領の就任式を見ながら書いているが、アメリカの意向に沿わないと、すぐ高い関税をかけるというのは世界から嫌われるだろう。翌日の22日の新聞には「トランプ米政権、中国への対抗鮮明に 発足直後に日米豪印外相会合」という見出しが踊っている。本当に、戦前にしたくないですね。(2025年1月22日)
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