憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (105) 『真実の瞬間(とき)』
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (105)
『真実の瞬間(とき)』
(初出2006年6月5日掲載・H.O.さん記)
1940年代後半、米ソの冷戦が激化する中で、アメリカで「赤狩り」の嵐が吹き荒れました。
それがアメリカの映画関係者にも及んだ様子を描いた映画です。
当時アメリカ議会の非米活動調査委員会は多くの人々を、
「あなたは、共産党員か、もしくは、以前そうであったか」「共産党員はあなたのまわりにいるのか、
もしいるのならば、その者の名をあげなさい」と取り調べました。
人々は、捜査に協力しなければ、仕事を失い、家族まで苦しめられ、
刑務所に行くはめになる場合もありました。
文化的影響の大きいハリウッド映画の関係者はその集中攻撃を浴びました。
有名なチャップリンもこの「赤狩り」によってアメリカを追われることになりました。
今日、多くの人はこのような話を聞いても、別に共産党員ではないから自分とは関係ない、と思うでしょう。
ところがそうではないのです。
当時の取調べで人々は「過去に“アカ”の集会に出たことがあったか」と尋ねられました。
その数年前までアメリカはナチスと戦うためにソ連と同盟関係にありましたから、
困難な目にあっているロシア人がいた時に助けようと思い、
そのための様々な会合に参加したアメリカ人もたくさんいたでしょう。
そのような会合も非米活動調査委員会は“アカ”の集会と考えたでしょう。
人を助けたいと思う善意の人たちが苦悩することになったのです。
様々な事情からどうしても嫌疑をかけられたくないと思い、
仲間や知人のことを密告して難を逃れた人もいるかもしれません。
まったく嫌な社会だったと思います。
この話しは決して過去の話ではありません。
今日「愛国心」を法律で強要する動きが強まる中で、
「テロ」とのたたかいをすすめるアメリカとの共同歩調を強めている日本において、
思想・良心の自由が脅かされています。
思想・良心の自由を語り広げる上でこの映画もその素材の一つになるでしょう。
【映画情報】
公開年:1991年
製作国:アメリカ
監督:アーウィン・ウィンクラー
主な出演者:ロバート・デ・ニーロ/アネット・ベニング/ジョージ・ウェント
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