憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (136) 『武器よさらば』
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (136)
『武器よさらば』
(初出2006年10月23日掲載・H.T.さん記)
文豪ヘミングウエイの同名の名作の映画化です。
第1次世界大戦におけるヘミングウエイ自身の、イタリア北部戦線の従軍記者時代の体験をもとにしています。
当時のヨーロッパは、ドイツ、オーストリア、イタリアの3国同盟と英仏露の3国協商が対立していましたが、
1914年、第1次世界大戦が勃発すると、イタリアは翌年、協商側にたって参戦しました。
映画の主人公フレデリック・ヘンリー(ロック・ハドソン)は、アメリカで雑誌記者をしていましたが、
理想と正義感に燃えてイタリア軍に義勇兵として参加しました。
イタリア・オーストリア国境の山々に白雪が降りつもる初冬の激戦地帯。
中尉ヘンリーは、休暇から帰ってきた夜、イギリスの赤十字の看護婦キャサリン・バークレイ(ジェニファー・ジョーンズ)を知りました。
出撃の日が近い夜、ヘンリーは激しい雷鳴のさなか彼女と結ばれました。
しかし、翌朝の出撃の雑踏が2人を別れさせます。
イゾンツォ河畔の戦闘は激烈をきわめ、多くの戦友が死にました。
ヘンリーも膝に重傷を負って護送されました。
陽光暖かいミラノの病院で、再び会ったキャサリンとヘンリーは幸福でした。
やがてヘンリーは、前線に復帰。山岳地帯の激戦でイタリア軍は敗退し、混乱の中で反逆罪の名によりヘンリーは親友とともに逮捕されます。
そして親友は銃殺。戦争の悲惨さ、残酷さを目の当たりにしたヘンリーは、1人脱走し、キャサリンの待つミラノへの道をたどりました。
おちあった2人は、夜の冷雨の中をスイスに渡ります。
ヘンリーの子を宿したキャサリンとの間につかの間の幸福が訪れます。
しかし、運命は残酷でした……。
映画の舞台となるイタリアと現スロヴェニアの国境地帯の戦闘は多くの犠牲者を出しました。
第12次のイゾンツォの戦いのイタリア側だけでも死者1万、負傷者3万、捕虜30万などの損失をもたらしました。
一般の住民は約10万が難民化したと言われています。
第1次大戦は、毒ガス、戦車、飛行機などの新兵器が登場して、非戦闘員にも莫大な犠牲者を出す空前の悲惨な戦争となりました。
武器で殺して勝つことの空しさを描いたこの映画には、こんな背景があります。
イゾンツォの戦いをメインテーマとし、戦争の空しさを後世に伝えるために、イタリア、オーストリア、スロヴェニア人を分け隔てすることなく、
現地に博物館が造られ、1993年、「ミュージアム・オブ・ヨーロッパ」に指定されました。
「武器よさらば」の発想は、日本国憲法の戦争の放棄にもつながるものを含んでいます。
ちなみに、映画化された第一作目は、1933年に日本でも公開されましたが、内務省当局から題名が反戦的だとして「戦場よさらば」に改められ様々な箇所がカットされました。
【放送】NHK衛星第2 2006年10月31日午後2:00~4:35(155分)
制作:1957年 アメリカ
監督:チャールズ・ヴィーダー
原作:アーネスト・ヘミングウエイ A Farewell to Arms
主な出演者:ロック・ハドソン/ジェニファー・ジョーンズ/ヴィットリオ・デ・シーカ/ マーセデス・マッケンブリッジ
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