憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (135) 『私たちは忘れない』
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (135)
『私たちは忘れない』
(初出2006年10月16日掲載・H.T.さん記)
*(註)下記の解説中の上映の案内は、この記事が掲載された2006年当時のものです。
2006年当時の情報という視点で記事をご覧ください。
安倍政権の登場で、首相のほか、閣僚、官邸、党の枢要な地位に、「日本会議国会議員懇談会」の会長をはじめ幹部を務めた(あるいは、務めている)人たちが大量に就任しました。
「日本会議」は、従来から、新憲法制定、首相などの公式参拝の定着、歴史教科書の「自虐史観」からの脱却などを主唱し、現実の政治にも大きな変化を与えてきました。
「日本会議国会議員懇談会」は、「日本会議」の結成と同時に、200名以上の国会議員によって設立されました。
「日本会議」は、「英霊にこたえる会」と共同で、靖国神社(関連情報1)(関連情報2)の軍事博物館である遊就館で、黒船来航以降終戦までのドキュメント映画「私たちは忘れない」を企画・制作し、遊就館はこれを毎日放映しています。
新政権の中核を担う人々の考え方を再確認するために、この映画を再び観てきました。
前回の時と同様に、お年寄りの団体とともに熱心に見入る20代前後とみられる観客の姿が目につきました。
報道によれば、近時は靖国神社を参拝する若い層が年々増えているとのことです。
映画の紹介に、「教科書では教えられない真実の歴史」とあります。
映画の冒頭部分で、女子大生らしい人のセリフで、
「小学校の時に見て涙が出てきた。(学校で)世界の歴史を学んでも、その時代に生きた人でしかわからない歴史があると思う」と、まず先入観を捨てさせます。
続いて、タイムトンネルに入ったような世界が展開します。
例えば、中国の満州に関しては、「日本の正当な権益がありましたが排日テロによって生命、財産の危機にみまわれました」と、
日本が被害者だったと説明されます。
「外国に押し入り、略奪しようと戦地に赴いた将兵たちは一人もいませんでした。ただただ純粋に愛する国のために戦ったのです」。
太平洋戦争については、「国家と民族の生存をかけ…自存自衛の戦争でした」。
グローバリゼーションの中で国民生活が翻弄され、将来に展望を持ちにくい時代に入っています。
確たるよりどころを持つことが困難になっている大きな要因です。
人間はやはり、何かを信じ希望を持ちたいというのが、通常でしょう。
それを、この映画のような閉鎖的なナショナリズムに求めるのか、日本国憲法の理念に求めるのか、今、各人の選択が迫られています。
信じるに足るものを国家(権力を持っている人々)から与えられるのか、自分で自立してつかむのか、と言い替えることも可能でしょう。
「タイムトンネル」の向こう側の世界が、ユーターンして、再び私たちの心を支配しようとしているのですから。
この国をリードしている民主主義国家日本の政治家たちの本音の歴史観を明確に理解し、また、なぜ若い層が魅かれるのか知るために、
是非一度鑑賞をお勧めしたい映画です。
【映画情報】
企画・制作:日本会議、英霊にこたえる会
後援:靖国神社
時間:50分
語り:浜畑賢吉/上村香子
放映:靖国神社内遊就館にて毎日10時より7回(11月~3月は6回)
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