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映画「ひろしま」

映画「ひろしま」

第52回「ひろしま」「ピカドン」20190810 ひろしま

【上映情報】

と き:2019年8月10日(日)13時30分〜16時40分
ところ:文京区民センター3A会議室
プログラム:
13時10分 開場予定
13時30分 映画のご紹介
13時40分〜13時50分
アニメーション映画「ピカドン」(上映時間10分)併映
1979年製作/10分/カラー・スタンダード
監督:木下蓮三 木下小夜子
14時〜15時50分
映画「ひろしま」(上映時間104分)
1953年製作/104分/モノクロ・スタンダード
監督:関川秀雄 脚本:八木保太郎

【上映会解説】

あなたは、原爆や戦争を何で、どのように知りましたか?あなたの中の原爆や戦争のイメージは、どこから始まっていますか?

今回一緒に見ていただく映画は、戦後8年目の1953年につくられた劇映画 『ひろしま』 と1979年につくられたアニメーション映画 『ピカドン』です。ひとりひとり、自分の中にある原爆や戦争のイメージを想い返してみることから始めましょう。

これらの映画は、その日、ヒロシマやナガサキであったことを、ごくふつうの市民や子どもたちが見たことを再現し、それを伝えようとしてつくられたものです。
おもに学校の先生が、子どもたちにヒロシマ、ナガサキの悲惨な真実を伝え、二度と繰り返してはならないという想いを込めてつくられたものです。

ところが、いつのまにか、教育の現場で、原爆や戦争を子ども教えていこうとすることは、弱められ、止められ、それを教えていこうとする動きに対して、圧力が加えられるようになっていってしまいました。

そうした圧力は、憲法を変えて、いつでも「戦争ができる国」にしたいととする力と重なります。戦後すぐ、なんとか原爆の悲惨な体験を、子ども達に伝えようとつくられた映画を観て、それをつくった人たち、それを見せて教えようとした人たちの熱意を知り、それがどうして教えられなくなったのか、戦後の教育をゆがめていったのは何かについても考えたいと思います。

【スタッフ・キャスト】

監督:関川秀雄脚色:八木保太郎 浦島進

原作:長田新篇

製作:伊藤武郎

撮影:宮島義勇

美術:平川透徹

音楽:伊福部昭

録音:安恵重遠

照明:伊藤一男

企画・制作:日本教職員組合

 

【キャスト】

・  岡田英次(北川先生)

・  月丘夢路(米原先生)

・  神田隆(千田先生)

・  利根はる恵(保母)

・  加藤嘉(遠藤秀雄)

・  河原崎しづ江(妻よし子)

・  亘征子(洋子)

・  月田昌也(幸夫)

・  山田五十鈴(大庭みね)

・  松山りえ子(大庭町子)

・  町田いさ子(大庭みち子)

・  南雅子(大庭明男)

・  佐脇一光(河野誠)

・  薄田研二(仁科博士)

1953年制作/104分/モノクロスタンダード

ベルリン国際映画祭長編劇映画賞

【DVD販売および上映についての情報】

独立プロ保存会 TEL & FAX:03-5929-7326

ひろしまポスター

ひろしま1 ひろしま2

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【作品の感想】

この春、専修大学(生田キャンパス)図書館で開かれた「時代にゆれた表現の自由展」を見てちょっと驚いたことがありました。そこには「アサヒグラフ1952年8月6日号」(原爆被害の初公開)が展示されていました。それまでは原爆被害の写真の公開は、進駐軍(GHQ)の検閲によって許されなかったのが、1952年4月の講和条約によってはじめて公開できるようになったことを知りました。アサヒグラフのこの特集号は「発売と同時に売り切れ増刷され70万部が出た」とあります。

私が驚いたのは「それまで7年間の占領の時期、日本人は文字や話として原爆の被害を知っていても、当時のメディアを通しての写真などのイメージを持つ手段がなかった」と言うことです。それでは「解禁」になってそうした写真が目に触れるまでの間、人々はいったいどのようなイメージで「原爆の被害」をとらえていたのだろうかと考えてしまいました。

今回上映する劇映画『ひろしま』は、「アサヒグラフの」の翌年の1953年にできた映画です。日本教職員組合(日教組)が母体となって、全国カンパを集め、何万人もの広島市民がエキストラとして映画の撮影に参加したと言われています。この映画を見るとあらためてそうした当時の制作者や学校の先生たち、大人たちが原爆の被害、その悲惨さ、凄惨さをイメージとして再現し、それを子どもたちに伝え、「二度と戦争を起こしてはならない」ことをメッセージとして伝えようとした熱意をひしひしと感じます。

ところがそうした「二度と戦争を起こしてはいけない」という反戦、反原爆のメッセージは戦後の教育の現場から少しずつ隠され、消されてしまいました。教科書から原爆の被害の写真が無くなり、その記述も曖昧なものにされていきます。戦争に反対する、あるいは日本という国がアジア太平洋戦争で、どのようなことをやったのかについても、教育の現場では隠され、それを伝えようとする動きに対して圧力が加えられるようになっていきます。子どもたちは原爆や戦争の被害に対して何のイメージのわくものも教わらなくなっていきます。

今回の安倍政権の4項目加憲案で「自衛隊を9条に加えるだけだ。何も変わらない」と言います。しかしそうやって自衛隊を憲法に加えることによって、自衛隊は軍隊になり、9条の示した「戦争の放棄」や「非武装」と言う国民の意思は憲法から失われることになります。

そして反戦、反軍を訴え、権力の横暴に「これはおかしい」と発言する人非国民として捕らえられ、人々の目に入らないように、その声は聞こえなくなってしまいます。

「あなたは原爆のイメージを何で、どのように知りましたか?それを伝えて行くにはどうしたらよいでしょうか?」原爆を生々しく描いた映画を見て原爆と教育、また憲法と教育について考えて行きたいと思います。

 

 

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