第83回憲法を考える映画の会『陸軍』
第83回憲法を考える映画の会『陸軍』(2025年8月11日)
第83回憲法を考える映画の会
日時:2025年 8月11日(月・休)13時30分〜16時30分
会場:文京区民センター3A会議室(地下鉄春日駅 2分・後楽園駅 5分)
■プログラム
13:30〜13:40 この映画について
13:40〜15:10 映画『陸軍』(87分)
15:10〜15:30 休憩
15:30〜16:30 トークシェア
■入場無料 (資料代、会場費に協力をお願いします。)
第83回憲法を考える映画の会『陸軍』案内チラシのダウンロードはこちらから
【作品の解説】
映画「陸軍」について
出征する息子を見送る母の哀しみを爆発させた、映画史上に残る壮大なクライマックス!
戦時中にも関わらず、木下恵介監督が“軍国の母”の真の思いを吐露した問題作!
幕末から明治の時代にかけて、日本陸軍の興隆に関わり続けた一族の姿があった。
祖父は三国干渉に憤りながら逝き、病弱で日露戦争の前線に出られなかった父は、その後の商売にも難渋する。
やがて時は大正から昭和へと移り、日本は再び戦争の時代を迎えて、息子の出征も決まるのだが……。
太平洋戦争3周年を記念し、陸軍省後援・情報局国民映画として製作された戦意高揚映画……のはずが、
監督を木下恵介に委ねたことによって思わぬ事態を招いてしまった問題作。
わが子を厳しくしつけてきた“軍国の母”がラストでは一転して出征していく我が子をいつまでも見送り続ける。
この寄せる母の情愛に変わりはないとして、哀しむ姿を延々と映しだしていった。
監督:木下惠介 脚本:池田忠雄 原作:火野葦平
製作:安田健一郎 撮影:武富善男
出演者: 笠智衆 田中絹代 東野英治郎 上原謙 杉村春子
1944年12月7日公開/87分/松竹映画
(『陸軍』DVDジャケットの作品解説より転載)
【映画「陸軍」制作の背景】
戦時下に、陸軍省の依頼で製作されたプロパガンダ映画であり、
作品の冒頭に「陸軍省後援 情報局國民映画」という表記がある。
太平洋戦争開戦日3周年にあたる日に公開された。
『朝日新聞』に連載された火野葦平の同題名の小説を原作に、
幕末から日清・日露の両戦争を経て満州事変・上海事変に至る60年あまりを、
ある家族の3代にわたる姿を通して描いた作品である。
時期的に考えても当然、国策に沿った戦意高揚・銃後の意識を鼓舞するという目的が、
映画製作を依頼した側にはあったはずである。
ストーリー展開もキャラクター設定も、そういう意図から外れてはいない。
しかし、細部の描写は、時々その本来の目的を逸脱しがちであり、
最後のシークエンスで大きく違う方向へと展開する。
その場面を見る限り、この作品を国策映画と呼ぶことは難しい。
結果として、木下は情報局から「にらまれ(当人談)」終戦時まで仕事が出来なくなったと言われている。
(Wikipedia 映画『陸軍』より)
【この映画を見て考えたいこと】
今、わが国で「戦争に反対か?」と問われれば、多くの人が、「反対」と答えるかと思います。
しかし、ひとたび日本が戦争にになった時、私たちは、それを言い続けることができるでしょうか?
映画『陸軍』は、1944年、戦争の真っ最中に、陸軍省が、国民を戦争に駆り立て、
戦争に向かわせる目的で作られた映画です。
この映画を見て、戦前、戦中に生きた大人たちの「戦争」や「国」に対する意識や心情が、
どのようなものだったのかを知りたいと思いました。
そして、そうした意識はどのように作られていったのかについて考えたいと思います。
そこには「考えることを止める」という力が働いていたのではないでしょうか。
そして、疑問をもつことを許さない軍部、真実を伝えない報道、戦争をするために、
邪魔になる疑問や考えを排除する社会の空気があったと思います。
それらは、「新しい戦前」とも言われる「今の私たちの状況」にも当てはまるものがあるのではないでしょうか。
何も知らされていないし、「戦争の危機」など考えようともしない。
この映画を見て、もうひとつ感じたことがあります。
戦争が全ての社会の中で、木下恵介監督や映画人たちの軍部に対する抵抗を感じました。
この映画に、木下監督たちがどのような反戦の「思い」を込めたのか、感じ取って行きたいと思います。
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