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隠された爪跡 関東大震災朝鮮人虐殺記録映画

公開日: : 人権を守る憲法, 作品紹介, 日本の戦争

隠された爪跡 関東大震災朝鮮人虐殺記録映画

Hidden Scars: The Great Kanto Earthquake Korean Massacre, A Documentary


- 日本/1983/日本語/カラー/16mm/58分監督、構成:呉充功(オウ・チュンゴン)
撮影:藤田正美、金利明、笠告誠一郎、田島心
編集:渡辺行夫 録音:小島透
ナレーター:小沢重雄 美術:加藤武夫
助監督:鍵山隆浩、里内英司
製作:呉充功、蒲谷雄二、小島透
製作会社:麦の会 提供:呉充功

副題が示すように、死者10万人にもおよぶ関東大震災に際し、6500人以上の朝鮮人が軍隊、警察、民衆に殺されたという歴史を資料と証言で検証する。横浜放送映画専門学院を主宰する今村昌平監督はチラシに「私の主宰する学院から、このような力強い映像を綴るドキュメンタリストが出たことを心から誇らしく思う」と書いた。なお、続編として『払い下げられた朝鮮人』(1985)が作られている。

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かいせつ

1923年9月1日マグニチュード7.9の大地震が、関東地方をおそった。
死者10万人にもおよぶ、関東大震災である。
この時、6500名以上の朝鮮人が軍隊、警察、そして日本の民衆の手によって殺されていることはあまり知られていない。

そのうえ、今なお遺骨が埋められている事実があった。
昨年9月、東京の荒川河川敷で地元の古老の証言をもとに、遺骨の発掘作業が始まった。
映画学校に通う朝鮮と日本の若者たちがカメラを持ってかけつけた。
真実が隠されてきた60年の歴史を、この映画は追う。当時、押上に住んでいた曹仁承(チョ・インスン)さんはじめ、多くの証言が真実を語る。
この映画は、隠されてきた歴史の爪跡を明らかにする貴重な記録映画である。

映画を観て             今村昌平  映画監督

何と云っても、このドキュメンタリーの主役『アボジおじさん』が魅力的なのだ。
大井町のホルモン焼店主だそうだが、八十三歳とは思えぬ元気者だし、直情型で、心が素直に画面にとび出るタイプなのである。

大正十一年、大震災の前年に、『日本へ行けば白い飯が食える』と聞かされた22歳のアボジさんは、朝鮮の貧しい村から東京へやって来る。その一年後大震災がおき、朝鮮人虐殺にモロに捲き込まれ、兄を殺され、自らも傷害を受ける。

このドキュメンタリーは、アボジおじさんの拙い日本語による語りを軸に、数々の証言や、客観的な証拠を集め、この残虐行為は何故起きたのか? それは偶発的なものであったのか? 若しかしたら、実は仕組まれたものではなかったのか? そしてこの事件に拘ろうと拘るまいと、今、我々日本人にとってそれはどんな意味を持っているのか? を、ひたひたと問いつめてくる。

勿論アボジさんにとってこのショックは凄まじく、その後二十年間も、夜うなされたり暴れたりしたという。
終りに近く、殺された朝鮮人の死体を集めて焼いたり埋めたりした荒川べりに、日本人証言者の一人である老人Aさんとアボジさんが並んで立つ。Aさんは、意図的にかくされ、風化してゆく虐殺の事実を、子々孫々にまで語り伝えたいと云う。
アボジさんはAさんの手をとって泣く。『くやしかったよ……本当に』
決して論理的でない庶民の言葉で語られたこの記録の中で、最も感動的な部分であり、最も鋭く、我々を衝いて来るカットなのである。

私は、私の主宰する学院から、このような力強い映像を創るドキュメンタリストが出たことを心から誇らしく思う。

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