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憲法情報Now<シネマ・DE・憲法>(257) 映画『生きものの記録』 (初出2008年8月25日掲載・蓼沼紘明 記)

憲法情報Now<シネマ・DE・憲法>(257)
映画『生きものの記録』
(初出2008年8月25日掲載・蓼沼紘明 記)
257生きものの記録

(註)下記の解説中のテレビ放送の放送の案内は、この記事が掲載された2008年当時のものです。
2008年にどのようなテレビ放送がされていたかという視点でご覧になってください。

ヒューマニズム溢れる作品で世界を魅了し、数々の国際的な賞を獲得して「世界のクロサワ」と言われた黒澤明監督が1998年に亡くなって10年になります。黒沢作品に貫かれた核心は、「平和と人間愛」とも評されます。
NHKはこれを記念して、今年の4月から全作品30作を放映しています。ちょうど半分が終わったところです。

9月1日(月)は、『生きものの記録』です。

原爆を投下された日本にとって、1954年3月1日のビキニ環礁で行われた水爆実験でマグロ漁船・第五福竜丸が被曝し、再び死者まで出したことは大きな衝撃でした。『生きものの記録』はこの実験を受けて、原水爆に対する危機感から生まれたと言われています。

鋳物工場の経営者・中島喜一(三船敏郎)は、核兵器の脅威から逃れるため全財産を処分して家族全員でブラジルへの移住しようとします。反対する家族は、家庭裁判所に彼を準禁治産者とする申し立て認められます。計画を阻まれた喜一は倒れます。意識を回復した彼は錯乱から工場に放火し、精神病院に収容されます。病室の窓から太陽を見た彼は「地球が燃えとる」と叫びます。

喜一は、水爆の恐怖が他人事に思える周りの人問たちとのギャップにより、孤独に追い込まれてゆきます。喜一が狂っているのか、核兵器を持つ現代社会が狂っているのか、厳しく問いかける作品です。当時35才の三船敏郎が、みごとに70過ぎの老人を演じています。

今、おりしも、米印原子力協定によって、核不拡散体制が根底から揺さぶられようとしています。日本政府は、アメリカの要請もあって、インドの核兵器の開発を支持するようです。イランや北朝鮮に対しては極めて厳しい姿勢をとり続け、国によって核兵器の所持の許否を使い分ける考え方を5大国以外にも広げるという方針に大転換するのでしょうか。しかし、ごく一部の地方紙を除いてマスコミの関心は高くありません(22日正午現在)。
この作品は、現在の日本に対して、初心を想い出させてくれるのではないでしょうか。
黒澤監督は、この作品以外にもピカ(原爆)の目を画面全面に大写しした『八月の狂詩曲(ラプソディー)』なども作り、反核を強く訴えていました。俳優・仲代達矢さんは黒澤監督は生前『戦争と平和(トルストイ)』の映画化を考えていたと語っています。

【放送】NHK衛星第2 9月1日(月)午後9:00~
【製作】1955年 日本
【監督】黒澤明
【脚本】橋本忍/小國英雄/黒澤明
【音楽】早坂文雄
【時間】113分
【出演】三船敏郎/志村喬/三好栄子/清水将夫 /千秋実/三好栄子/青山京子/根岸明美/左卜全 /東野英治郎

<参考>黒澤監督作品の9月2日以降の放送予定は以下のとおりです。

9月 2日(火)午後9時00分『蜘蛛巣城』
9月 3日(水)午後9時00分『どん底』
9月 6日(土)午後8時00分『七人の侍』
9月20日(土)午後9時00分『隠し砦の三悪人』
10月 4日(土)午後9時00分『悪い奴ほどよく眠る』
10月18日(土)午後9時00分『天国と地獄』
11月 1日(土)午後9時00分『赤ひげ』
11月15日(土)午後9時00分『どですかでん』
12月 6日(土)午後9時00分『デルス・ウザーラ』
12月20日(土)午後9時00分『影武者』
12月22日(月)午後9時00分『乱』
12月23日(火)午後9時00分『夢』
12月24日(水)午後9時00分『八月の狂詩曲(ラプソディー)』
12月25日(木)午後9時00分『まあだだよ』

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