憲法情報Now<シネマ・DE・憲法>(290) 映画『おくりびと』
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法>(290)
映画『おくりびと』
(初出2009年3月2日掲載・H.O.さん 記)
遺体を清め、装束を着せて棺におさめる納棺師を描く映画で、第81回米アカデミー賞の発表・授賞式(2009年2月22日)において、日本の作品として初めて外国語映画賞を受賞しました。
人間は一人では生きていけず、誰もが、その親や家族、地域社会、会社、団体などと関わることになります。しかし、誰もが「個人」であるということも事実です。息を引き取り棺に納められようとしている遺体を見るとき、その人「個人」の人生に思いを馳せることになる気がします。
日本国憲法も近代憲法の流れの中で、「個人の尊重」をその中核的な価値としています。封建時代の人々は、領主に縛られていたり、宗教に縛られていました。近代憲法はそれを変え、誰もが自由で平等であるとしました。それは富のある者の自由を保障するものに過ぎないという面がありますが、そうではない者の切実な要求の実現のためにも近代憲法が謳う「個人の尊重」という建前は活用することができます。浦部法穂教授が説くところです。いろいろな人びとが組織をつくり、組織間の力関係のなかで政治が決まっている現実がありますが、一人ひとりの人間、すなわち「個人」というものに着目して、一人ひとりの人権をお互いに保障し合える社会にしていくことが大事だろうと思います。『おくりびと』に出てくる遺体と、その遺体に真心をこめて接する納棺師の姿を見て、そのようなことを感じました。
当研究所客員研究員でもある水島朝穂・早大教授はご自身のホームページの「今週の『直言』」(https://www.asaho.com/jpn/bkno/backnumber.html)で『おくりびと』について語っていました(「『おくりびと』と『交響曲第0番』」(2008年10月6日)ので、ぜひご覧ください。https://www.asaho.com/jpn/bkno/2008/1006.html
【映画情報】
2008年。
130分。
監督:滝田洋二郎 。
出演:本木雅弘、広末涼子、山崎努、余貴美子ほか
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