*

憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (147) 『エンロン』

公開日: : シネマDE憲法, 作品紹介

憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (147)
『エンロン』
(初出2006年12月8日掲載・H.T.さん記)

147エンロン

今、株式会社論が盛んになっています。
株式会社は誰のためにあるのか?今後どうなるのか?
というのも、アメリカでは、不正な会計処理にからんだ「エンロン」「ワールドコム」という巨大多国籍企業の倒産、IBM、ゼロックスなど有名大企業の粉飾決算、GMの経営危機、日本ではバブル崩壊による企業の相次ぐ倒産に続いて、最近ではライブドア、村上ファンドのスキャンダル、カネボウの粉飾決算など、株式会社制度が大きく揺らいでいるからです。

映画「エンロン」は、1985年の設立以来、エネルギー業界の規制緩和を政権や議会に働きかけ、急成長を遂げ、売上高全米第7位になった巨大企業のドキュメンタリーです。
2001年、エンロンと子会社との癒着問題を報じた記事がきっかけとなり、株価が大暴落。その後、粉飾会計、不正経理、不正取引などが次々と明るみに出、その報道からわずか46日後には破綻に追い込まれました。負債総額2兆円、自社株に投資した従業員は巨額の資産を失って失業しました。他方、経営陣はインサイダー取引で大量のストック・オプションによる株を売り抜け、大儲けしました。残された衝撃的なビデオ映像や音声テープによって、金儲けに徹する企業の反社会的な実態が暴かれています。記憶に新しいカリフォルニア州の大停電も、そんなエンロンの戦略の一つでした。

奥村宏氏(元中央大学教授・株式会社研究家)は、著書「粉飾資本主義 エンロンとライブドア」の中で、ライブドアも、規制緩和を極限まで利用して不正会計や株式交換、株式分割などの高株価政策により、経営者が株式会社を食い物にして自己の利得を図ろうとした点でエンロンと多くの共通点があると指摘しています。そして、アメリカでは機関投資家が企業を支配し現在の運用実績を良くするために株価をつり上げ、ストック・オプションなどによって経営者を金儲け主義に巻き込み、株式会社制度は危機に陥っているとしています。「倫理なき資本主義」です。日本の場合も法人による株式持合いが崩れた後のビジョンが見えない、あるのは金儲け主義だけであると警鐘を鳴らしています。
岩井克人教授(東京大学)は、「倫理性に支えられた社会こそ『市民社会』であり、倫理の基本は他の人間を自分の利益の手段として扱ってはいけない」ことだ、と書いています(06年7月25日付け朝日新聞朝刊)。個人の尊重を究極の価値とする日本国憲法(第13条)の下において、株式会社制度を考えるきっかけになる映画です。

製作:2005年 アメリカ
時間:110分
原作:「THE SMARTEST GUYS IN THE ROOM」
著者:べサニー・マクリーン、ピーター・エルキンド
監督:アレックス・ギブニー
主なキャスト
ピーター・コヨーテ(ナレーション)
元エンロン社員:ケン・レイ(元CEO)
ジェフ・スキリング(元CEO)
アンディ・ファストウ(元CFO)

ad

Message

メールアドレスが公開されることはありません。

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>

関連記事

「自主制作映画見本市#2」20200113オモテ

自主制作・上映映画見本市#3

自主制作・上映映画見本市#3   と き:2020年1月13日(休・成人の日)(9:30—2

記事を読む

13長編記録映画こんばんは

憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (15) 長編記録映画『こんばんは』

憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (15) 長編記録映画『こんばんは』 初出2004年8月3

記事を読む

第66回「教育と愛国」 (2022年10月23日)入稿時オモテ

第66回憲法を考える映画の会『教育と愛国』上映会

第66回憲法を考える映画の会『教育と愛国』上映会 第66回 憲法を考え

記事を読む

86戦争と青春

憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (86) 『戦争と青春』

憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (86) 『戦争と青春』 (初出2006年1月30日掲載・

記事を読む

kuroi

黒い太陽・南京

1937年7月7日、盧溝橋での発砲事件から、日本と中国は戦争状態に突入。しだいに戦線は拡大し

記事を読む

第78回「琉球弧を戦場にするな」20241014案内チラシ(オモテ)

第78回憲法を考える映画の会『琉球弧を戦場にするな』

第78回憲法を考える映画の会『琉球弧を戦場にするな』 ******************

記事を読む

yugon

証言 20世紀からの遺言 若者が問う侵略戦争

日本の敗戦から半世紀の時が流れ、悲惨な戦争体験を直接聞く機会は失われつつある。「戦争体験をた

記事を読む

乳泉村の子

憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (101) 『乳泉村の子』

憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (101) 『乳泉村の子』 (初出2006年5月8日掲載)

記事を読む

第40回「憲法を武器として」20180109

憲法を武器として 恵庭事件 知られざる50年目の真実

憲法を武器として 恵庭事件 知られざる50年目の真実 【上映情報】 映 画「憲法を武

記事を読む

紀子の食卓

憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (134) 『紀子の食卓』

憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (134) 『紀子の食卓』 (初出2006年10月9日掲載

記事を読む

ad

ad


「憲法映画祭2026」20250418(20260222入稿時原稿)差し替え用オモテ
憲法映画祭2026

憲法映画祭2026(4月18日) 第87回憲法を考える映画の

147エンロン
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (147) 『エンロン』

憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (147) 『エンロン』 (

146麦の穂をゆらす風
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (146) 『麦の穂をゆらす風』

憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (146) 『麦の穂をゆらす風

145明日へのチケット
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (145) 『明日へのチケット』

憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (145) 『明日へのチケット

ALWAYS 三丁目の夕日
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (145) 『ALWAYS 三丁目の夕日』

憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (144) 『ALWAYS 三

→もっと見る

PAGE TOP ↑