憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (19) 『草の乱』
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (19)
『草の乱』
(初出2004年9月20日掲載 H.T.記)
明治時代、自由民権運動と連動する形で起きた最大の農民蜂起として知られる秩父事件を映画化した壮大な人間ドラマ。地域の人望を集め、事件の中心人物の一人だった井上伝蔵(緒方直人)を中心に感動深く描かれている。
監督は、「ハチ公物語」「ひめゆりの塔」「郡上一揆」などで知られる神山征二郎。
秩父音頭に歌われているように、荒川の源流である埼玉県の秩父は、江戸時代のなかばから「繭の国」と呼ばれ養蚕が盛んな山国であり、祭りの里だった。
しかし、折からの世界恐慌で生糸の輸出が低迷する中、明治政府は富国強兵政策による軍備の増強のため大増税を行った。
その一方でとったデフレ政策により農民の命綱と頼む生糸の値段は大暴落した。
農民たちはやむなく高利貸しの戸を叩いた。
8円の借金が1年後には26円となった。このため、農家の倒産、夜逃げや自殺者が相次いだ。
その頃自由民権運動の波は秩父地方にも押し寄せていた。
この運動と負債に悩む農民の要求行動が結合し、「秩父困民党」が結成され、農民たちは専制政府に対して借金返済方法の緩和や減税などを求めて武装蜂起した。
これに対して政府は軍隊を出動させた。圧倒的な火力の前に農民軍は壊滅する。
神山監督はいう。
「今の日本は時代状況が秩父事件当時とよく似ている。秩父困民党の人たちは、あの時代だったから、刀や槍をもって立ち上がった。でも、今の私たちには民主主義という武器がある」
「草の乱」は、全国からのべ8000人のエキストラが自費で参加し、市民の出資による4億円余という空前の資金で製作された。
| 【上映】 有楽町スバル座など全国でロードショー中 【初公開】 2004年 【監督】 神山征二郎 【出演】 緒方直人 林隆三 杉本哲太 原田大二郎 田中好子 藤谷美紀 |
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