ジョン・ラーベ
映画「ジョンラーベ」
【上映情報】
『ジョン・ラーベ 南京のシンドラー』(2017/12/10 都営地下鉄春日駅・東京メトロ後楽園駅)のご案内
と き:12月10日(日)13時半〜16時半
ところ:文京区民センター3A会議室
映 画:『ジョン・ラーベ 南京のシンドラー』
入場料:1000円(学生500円)
主 催:憲法を考える映画の会
【映画の解説】
日中戦争が始まって間もない1937年12月。日本軍は中華民国(蒋介石)の首都南
京へ侵攻し陥落させた。首都機能はすでに重慶へ移転しており、数十万の市民と
中国兵士、そして十数人の欧米人が南京に残留した。残った欧米人たちは、迫り
くる日本軍から市民を保護する為、南京安全区国際委員会を設立、その委員長に
選ばれたのがシーメンス南京支社長のジョン・ラーベだった。本作品は、ラーベ
と国際委員会メンバーの人道的活動を史実を基に描く。
ドイツ映画賞で主演男優賞・作品賞・美術賞・衣装賞を受賞、バイエルン映画賞
では最優秀男優賞・最優秀作品賞を受賞した傑作。日本では上映不可能とまで言
われた本作品がついに日本初公開!
上映趣旨
南京事件70周年(2007年)に合わせて、世界中では南京事件に関する映画作品が
多く作られました。しかし、日本ではそのほとんどが一般公開されてません。私
たち「南京・史実を守る映画祭」実行委員会では、日本で上映されることが無
かった「南京事件」映画の上映を敢行してきましたが、今回、5年に渡る交渉の
結果、本作品の上映にたどり着くことが出来ました。世界中で認められた映画が
上映できない、そんなことはあってはならない。そういう素朴かつ当たり前の思
いが、私たちの原点です。
シーメンス中国支社長・ナチス党員で、1937年の日本軍による南京事件にあたって現地民の保護に尽力し、死後に「中国のシンドラー」と評価されたジョン・ラーベの日記を元に映画化したもの
2009年4月1日に、日本の配給会社が公開を拒否し、見ることも断ったと報じられた。
また監督のフローリアン・ガレンベルガーによると、朝香宮鳩彦王が登場するシーンをすべて削除するという条件で日本での公開を持ちかけてきた配給会社があったとのことだが、この申し出は拒否された。
【この映画を上映して考えたいこと】(2017/11/23)
日本軍がやったことを隠したいのは、自衛隊を軍隊にしたい人達ではないか?
今年2017年は日本が日中戦争を始めて80年目の年です。そして12月は、南京事件80年目の12月です。
南京事件は12月8日に南京を包囲した日本軍が12月10日に攻撃を開始し、
13日には中国軍が総崩れとなって南京城は陥落、
その間に30万人とも、40万人(中国における軍事裁判の数字)とも言われる中国兵と民衆が虐殺された
と言われる歴史的な事件です。
わたしたちはこの南京事件80年目に、
南京事件に関連する映画を選んで、第39回の憲法を考える映画の会のプログラムにすることにしました。
そして劇映画『ジョン・ラーベ─南京のシンドラー─』を選びました。
ジョン・ラーベは、1937年12月の南京事件当時、ドイツのジーメンス社南京支社長であり、
非武装中立の「南京安全区国際委員会」委員長として、
20万人の中国民間人を救うために奔走したとして知られる人物です。
この映画はドイツ人の視点からの南京事件前後のありさまを描いています。
しかしながら、この映画は南京事件の真実を明らかにする映画ではありません。
監督も言っています。「これはあくまでも『劇映画(フィクション)』だ。」
しかしラーベの日記から想起される南京事件を描いた映画であり、戦争の恐怖を映像で追体験できる映画という点で、「戦争のできる国」にしようとしているいまの日本で「戦争とは何か、軍隊とは何か」を考えさせる作品です。
この映画を見て考えられることはいろいろあると思います。
とくにこの南京で起きた虐殺について、「そんなことは無かった」とか、
「虐殺があったとしても数がもっと少ない」と過少にとらえようとすること、
あるいは「戦闘行為の中での死者だった」「避難した民衆が揚子江でおぼれたのだ」などと、
日本軍が行った虐殺であることを否定しようとする力が働いていることを強く感じます。
そのように言いたがる人たちは、どのような意図をもって
そうした過少評価をしようとするのでしょうか。
また「どうしてあのような事件が起きたのか」について考え、調べていくと、
「日本軍とはどのような軍隊であったのか」と言うことも浮かび上がってきます。
いま、憲法9条を変えて、自衛隊を、集団的自衛権による戦争ができる軍隊にしようとする改憲の動きが
具体的に始まろうとしています。
自衛隊が軍隊になると言うことは日本という国にとってどういうことなのか、
それ以前に日本の軍隊というものについて私たちはどれほど知っているのでしょうか。
日本軍とはどのような軍隊であって、日本軍はどのようなことをやってきた軍隊だったのか。
なぜ自民党をはじめとする国会議員の多くが、
憲法を変えて自衛隊をそのような軍隊にしたがっているのか、
そして過去の日本の軍隊がやったことの事実を隠したがっているのか、
考えて行きたいと思います。
【映画の感想】
とても良くできた映画だと思いました。
日本軍の南京侵攻に立ち向かったドイツ人、ジョン・ラーベの実録(「南京の真実 ジョン・ラーベの日記」など)をもとにしたドラマです。ナチス党員でありながらも、日本軍から南京残留の欧米人や市民を守ろうとした彼の奮闘を見つめるものです。ドラマとしての演出と演技も、主人公ジョン・ラーベ自身の苦悩と奮闘、その結果、多くの中国人を救うことになった物語を表現して見る人の気持ちを引き込んでいきます。極限状況下における人間模様に加えて、美術も当時の南京の街を始め、細やかに再現して重厚な印象を与え、それがリアリティと緊張感を高めています。
でも見終わって何か落ち着かない気持ちをどこかにもったのも事実です。何がそうした落ち着かない気持ちにさせたのでしょう?
この映画は、配給会社が南京事件という材料にした映画であることから上映妨害などの動きが起きることを嫌って、配給をしたがらなかった、それを市民団体が自主配給し、自主上映の形で私たちが見ることができるようになった作品です。
私はそうした上映妨害は、表現の自由と私たちが映画を楽しむ権利(知る権利)を侵す憲法違反であり許せないと思っています。映画配給会社がそうした妨害や一方的なクレームと混乱をおそれ、配給を見合わせるということがあるとすれば、それは配給社が制作者や観客に対して向き合っていないのではないかと思ってしまい、残念に思います。
この映画が上映されるまでのそうした事情を聞いていると、この映画を応援しなければ、という気持ちになります。でもそのことと映画の批評あるいは感じ方はまた別のことと思います。なぜ落ち着かない気持ちになったのか、私は、この映画の作り手は「何を伝えようとして,この映画を作ったのだろうか?」というところから考えてみることにしました。
「南京の虐殺に至る混乱に巻き込まれ、中国人たちを守ったジョン・ラーベの苦悩、その活躍を描いた人間ドラマ」が作り手の意図と思います。少なくとも南京大虐殺の悲惨な事実を後世に伝えようとしてこの映画を作ることが第一目的ではなかったように思いますし、監督自身も「この映画は日本を批判するものではない」とくり返しコメントしています。
しかし、今私たちがこの映画を見よう、あるいは見せたいとする気持ちの多くは、後者の南京大虐殺の真実をちゃんと知り、伝えていかなければならないと思うところにあるのだと思います。とくに「南京大虐殺なんて無かったことにしよう」と企図しているような人や妨害をしてまでこうした歴史があらわになっては困ると考える人がいるからなおさらその思いは強まります。そして、どうしても「真実はどちらなのか」という気持ちで、こうした映画を見ることになります。
ところが、この映画はその表現においてはフィクションであることは明確にしています。
主人公の苦悩や奮闘を描くためにお話を作っていく上で、虐殺の光景を描いて観客に「こんなひどいことが行われたのだ」という強い印象を持ってもらわなくては話が成り立ちません。それは史実にできるだけ忠実に即して描かれているものであっても、表現としては真実ではない。
ここに「映像で表現する」ということと、「真実を伝える」ということの違いと難しさがあります。ドキュメンタリー映画などで、事実をカメラによってありのままを捉えたものであったとしても、撮影者によってどう切り取られたものであるか、編集者によってどのように選ばれたものか、また演出者によって作品としてどう作られたものであるか、そこの作為は当然含まれていて「ありのまま」はあり得ない、極端な場合、真実などあり得ないと言うこともあります。
では、映画に描かれたものは、真実でないのだからそんな映画は上映されることが許せない、ということが直接・間接の妨害行動としてあってもいいものでしょうか?それは表現の自由を奪うものであるし、知る権利を奪うものになると思います。そう予測し、無難な配慮をするということだけでも自由は束縛されていきます。
映画を配給する立場にある人にとっては映像の作り手、また観客に対して,何がいちばん大切なことであるかを考えて向き合って欲しいと思います。またいろいろな困難を予測しながら自主配給、自主上映を進めた市民団体に敬意もってエールを送りたいと思います。自主上映を進めようとしている自分たちもそれに習っていきたいものです。
そう考えていって映画を見た後に感じた落ち着かない気持ちを少し落ち着かせることができました。この映画を是非見て欲しいと思います。いろいろなことを考えさせる映画です。
【公式ホームページ】http://johnrabe.jp/
【予告編】https://www.youtube.com/watch?v=exSppCOM6tE
【制作スタッフ】
監督・脚本:フロリアン・ガレンベルガー
製作:ベンヤミン・ヘルマン ミシャ・ホフマン ヤン・モイト
音楽:アネッテ・フォックス
出演:ウルリッヒ・トゥクレール ダニエル・ブリュール スティーヴ・ブシェミ,
香川照之 杉本哲太
ドイツ・フランス・中国共同製作 2009年 134分
【配給・上映貸し出し】
南京・史実を守る映画祭実行委員会(info@jijitu.com)
1回の上映につき ・会場席数100名まで 5万円 ・会場席数100名以上 10万円
【DVD販売】東風
(法学館憲法研究所「シネマ・DE・憲法」2016年5月2日より転載)
【予告編】
【公式ホームページ】
http://johnrabe.jp/
【DVD販売】
作品情報 | |
---|---|
作品時間 | 134分 |
監督(製作年) | フローリアン・ガレンベルガー(2009年) |
製作 | ドイツ・フランス・中国 |
上映 | 2014年5月17日、江戸東京博物館ホールにて、「南京・史実を守る映画祭」実行委員会より日本で初上映される。 |
【映画情報】
監督:フロリアン・ガレンベルガー
音楽:アネッテ・フォックス
ドイツ映画賞で主演男優賞・作品賞・美術賞・衣装賞を受賞、バイエルン映画賞
では最優秀男優賞・最優秀作品賞を受賞。
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