憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (10) 『ロング・ウォーク・ホーム』
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (9)
『ロング・ウォーク・ホーム』
2004年8月12日掲載 I.M.記
舞台は、アメリカのアラバマ州モンゴメリー。時代は、1950年代。黒人差別が公然と残る公民権運動以前の南部での物語です。
主演のウーピー=ゴールドバーグ(Whoopi Gorldberg)は、裕福な白人家庭のメイド役オデッサを演じています。
白人家庭の妻ミリアムは、自分が幼いときにやはり黒人のメイドに育てられた経験があるために、黒人のおかれた状況に同情的ですが、周囲の人々は黒人に対して偏見と憎悪を抱いています。
そうしたなか、黒人によるバスボイコット事件(いわゆるローザ=パークス事件)が起こり、オデッサらメイドもこの行動に呼応します。
仕事の往復にバスを使わず、長距離を徒歩で歩き貫くことで、黒人差別に対する抗議の意思を表すのです。
黒人教会の牧師は、「われわれが間違っているのであれば、最高裁判所も間違っている。
われわれが間違っているのであれば、合衆国憲法も間違っている」と述べます。
こうした抗議活動が長引くなか、白人は黒人に対する弾圧を強めていきます。
しかし、黒人差別を誤りだと考えるミリアムは……
この作品は、極めて日常的な生活のなかから差別を告発しています。
黒人差別問題を考える人や、アメリカ憲法に関心がある人には、お勧めの一本です。
エンドロールの際に流れるマーティン=ルーサー=キングの声、「最後には正義は必ず手に入れられる。
どれくらいで? そう遠からず」はとても印象的です。
なお、ウーピー=ゴールドバーグは、最近、ブッシュ大統領を批判したために出演しているCMを降板させられるということがありました。
しかし、彼女は、「私は言うべきことはこれからも言い続ける」と意気盛んです。
【原題】 THE LONG WALK HOME
【製作】 1990年
【製作国】 アメリカ
【監督】 リチャード=ピアース
【出演】 ウーピー=ゴールドバーグ/シシー=スペイセク/ドワイト=シュルツ
ad
関連記事
-
-
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (40) 『真実のマレーネ・ディートリッヒ』
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (40) 『真実のマレーネ・ディートリッヒ』 (初出200
-
-
シロウオ 原発立地を断念させた町
シロウオ 原発立地を断念させた町 監督:かさこ 2014年/日本映画/分
-
-
「映画で憲法を考える 歴史的事実、生き生きと」(2018/2/7・毎日新聞夕刊)
「映画で憲法を考える 歴史的事実、生き生きと」(2018/2/7・毎日新聞夕刊)のご紹介 と き:
-
-
映画『アフガニスタン 用水路が運ぶ恵みと平和』
アフガニスタン 用水路が運ぶ恵みと平和 【上映会情報】 2020年2月11日(火
-
-
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (42) 『able(エイブル) 』・『ホストタウン エイブル2』
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (42) 『able(エイブル) 』・『ホストタウン エイブ
-
-
約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯
映画『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』 予告編 http://yakusoku-na
-
-
ショック・ドクトリン
20世紀の一時期、世界は資本主義から社会主義へ移行し、より平等な社会がやってくると信じる人々
-
-
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (33) 『アンナとロッテ』
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (33) 『アンナとロッテ』 (初出2004年11月22日
-
-
第71回 憲法を考える映画の会「広島・長崎における原子爆弾の影響」
第71回 憲法を考える映画の会「広島・長崎における原子爆弾の影響」 第71回憲法を考える

