憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (84) 『月光の夏』
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (84)
『月光の夏』
(初出2006年1月16日掲載)

第二次世界大戦末期、日本軍は20歳前後の多くの若者に「特攻隊」を命じた。
「特攻隊」は爆弾を搭載した飛行機を操縦して敵艦に体当たりしていった。
特攻出撃した者は死んだものとされるが、中には天候が悪かったり飛行機の状態が悪かったりして敵艦まで到着できずにひき返す者もいた。
自分が無駄に死ぬのではなく、確実に敵艦に体当たりして役割を果たしたいと考えたのだった。
ところが、軍はこうしてひき返すことを余儀なくされた者たちを監禁した。
軍の幹部は彼らを命が欲しかった卑怯者と考え、軍の士気を維持するために監禁したのである。
こうして生き残った人たちとその思いは戦後長い期間、あまり社会に知られることはなかったが、
この映画によって戦争の一つの断面として多くの人々の知るところとなった。
ひとたび戦争が始まったら軍の命令は絶対であるということを隊内に断固として徹底しなければならないのであろう。
その際に合理的・理性的な別の判断があったとしても、それは断固として排斥される。
実際の実話をもとにつくられたこの映画は戦争の愚かさと平和の尊さを伝える感動的なものである。
九州各地の人たちはこの映画づくりをささえた。
日本国憲法の平和主義や「個人の尊厳」を考えるにあたり、
ぜひ多くの人たちに観てもらいたい。特に当時の若者が置かれた状況を高校生など若い人たちに観てもらいたい。
<映画情報>
製作年 : 1993年
配給 : ヘラルド・エース=日本ヘラルド映画=映画『月光の夏』全国配給委員会
原作 : 毛利恒之
監督 : 神山征二郎
出演 : 渡辺美佐子、若村麻由美、仲代達矢その他
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