映画『アフガニスタン 用水路が運ぶ恵みと平和』
アフガニスタン 用水路が運ぶ恵みと平和
【上映会情報】
2020年2月11日(火・休)13時30分〜16時
文京区民センター 3A会議室
東京都文京区本郷4-15-14
地下鉄・春日駅2分/後楽園駅5分
プログラム
13時30分〜14時50分
映画「アフガニスタン用水路が運ぶ恵みと平和」(上映時間65分)
本 編 緑の大地計画の記録
技術編 PMSの灌漑方式
15時00分〜16時00分
トークシェア
参加費:一般1000円学生・若者500円
【作品紹介】
アフガニスタンは、本来は豊かな国であった。2000年に大干ばつが起こるまでは、穀物自給率93パーセント、国の8割は農民であった。
1979年末の旧ソビエト軍の侵攻によるアフガン戦争、2001年の9.11テロ事件への欧米軍による報復戦争。
戦乱と干ばつの続く中で、中村医師とアフガン人スタッフは、「緑の大地計画」を企図して1,600本の井戸を掘り、更に独自の灌漑方式で長大な農業用水路を建設。
砂漠化し荒廃した土地16,000ha以上を緑に甦らせたプロジェクトを、さらにアフガニスタン全土に拡大できるよう、日々奮闘し続けている。
(ペシャワール会ホームページより)
企画:ペシャワール会
製作:日本電波ニュース社
【作品の感想】
善意と信念、アフガニスタンの水路現場で土地の人たちと活動する中村哲さんの笑みを見ているとそんな言葉が頭に浮かびます。
中村さんは言います。「困った子どもが泣いていたら『どうしたの?』と聞くでしょう」それが中村哲さんの行動の原点のようです。そうして1984年からパキスタン、アフガニスタンで人々を病気から守り、井戸を堀り、水路を作って荒廃した大地を緑の沃野に変え、人々が平和に暮らし、力を合わせて生きていく社会を作っていきました。
私も映画を見ていて、「村人たちが誰から言われるでもなく水路を守るために自主的に集まってきた」場面などでは目頭が熱くなっていました。素直に、喜びをともにしたいという気持ちがわいてくる映画です。
医師の中村哲さんが戦乱と干ばつの地、アフガニスタンで用水路建設を始めてから13年。
いま、中村医師が関わった用水路群の水で1万6千ヘクタールの大地が甦り、60万人の命が支えられています。用水路沿いには麦の穂がゆれ、野菜や果物が実り、それらの恵みが人々に穏やかな暮らしをもたらしました。
それでは、恵みと平和を運ぶこの用水路群はどのようにして建設されたのでしょうか?そこには知られざる「江戸の技術」と中村医師が編み出した 「中村メソッド」とも呼べる技術がありました。 このDVDはこうした知られざる技術にも焦点をあてた、中村医師による「干ばつと戦乱」との闘いの記録です。(DVD「アフガニスタン 用水路が運ぶ恵みと平和」案内ページより)
DVDには2002年から2015年までのアフガニスタンでの活動を紹介する「本編」と、「技術編」の二つが収められています。
「技術編」は、どのように水路に水を通したか、とくにその建設にあたって、「斜め堰」や「蛇籠」「砂止め池」など江戸時代に作られた日本古来の灌漑の土木技術がどのように活かされたかをCGの図解を交えながらわかりやすく、興味深く見せていきます。
中村さんが先人の知恵と工夫、努力に、敬意と信頼を寄せていることが感じられます。何よりも村人のことを思って知恵と工夫を捧げた江戸時代の先人篤農家の魂が中村さんに乗り移っているようにさえ思われます。
欧米の援助でできて立派な堰が使い物にならなくなって、中村さんのところに村人たちが相談に来ます。大臣がやってきて、このPMS(ペシャワール会医療サービス)方式の灌漑事業をアフガニスタンの全土で行うと話しました。なおこれからも中村さんたちの努力と技術が引き継がれていくことを感じ、希望がもてる思いがしました。
ちいさな中村さんを抱き上げた大男たちの親しみと感謝に満ちた表情。常に現場に出て、そこに生きる人々の目から、長い年月、土地の人たちのものになる技術は何か考え続けてきた中村さんの考えを、ほんとうに多くに伝わっていることを実感させる場面です。
そしてさまざまな障壁を前に困難の中にあるとき、あるいはそれを成し遂げていったときの中村さんの言葉は強く私たちの気持ちに響きます。
中村さんは2014年、日本政府が解釈改憲によって集団的自衛権容認を決めたときに、自分たちがアフガニスタンの人と築きあげてきた信頼を壊すものだと鋭く批判しています。
「アフガニスタン人にとって、日本は、軍事行動に消極的な国だと思われています。一言で言うと、敵意のない国。これは自衛隊の行動を縛ってきた憲法9条の威力です。アフガニスタン人も、日本には、他国の戦争に加担しないという『掟』があることを知っています。(中略)アフガニスタン人は、多くの命を奪った米国を憎んでいます。日本が米国に加担することになれば、私はここで、命を失いかねません。安倍首相は記者会見で、『現状では』海外で活動するボランティアが襲われても、自衛隊は彼らを救うことはできない」と言ったそうですが、全く逆です。命を守るどころか、かえって危険です。私は逃げます。
9条は、数百万人の日本人が血を流し、犠牲になって得た、大いなる日本の遺産です。大切にしないと、亡くなった人たちが浮かばれません。9条に守られていたからこそ、私たちの活動も続けてこられたのです。」(西日本新聞2014年5月16日)
集団的自衛権という形で、外に向けて軍事行動に踏み出すことは、中村さんたちが作り上げてきた現地の人々との信頼とさらに期待されている未来に向けたしごとを壊すものになります。
そしてそれはこの映画に描かれているような、私たち自身が望んでいる世界の人々の幸せと平和に対してできることを壊していくものになります。
【スタッフ】
朗読 吉永小百合
ナレーション 濱中博久
取材:柿木喜久夫/大月啓介/アミン・ウラー・ベイグ
編集:櫻木まゆみ
構成・制作:上田未生
撮影・監督:谷津賢二
企画 ペシャワール会
製作 日本電波ニュース社
2016年制作/30分+35分/日本映画
【販売】
ドキュメンタリー映画DVD(上映権付き)
本編 緑の大地計画の記録 30分
技術編 PMSの灌漑方式 35分
価格 2700円(税・送料別)
ライブラリー価格 7500円(税・送料別)
注文・申し込み:日本電波ニュース社
http://www.ndn-news.co.jp/shop/pickup/Megmitoheiwa.html
(法学館憲法研究所ホームページ「シネマ・DE・憲法」(2016年12月26日より)http://jicl.jp/old/now/cinema/backnumber/20161226.html
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