横浜事件を生きて
横浜事件を生きて
1990年日本映画 58分 松原明監督
【上映の機会】
第31回憲法を考える映画の会
日時:2017年1月29日(日)13:30~17:30
会場:千駄ヶ谷区民会館 集会室(渋谷区神宮前1-1-10 原宿駅2分)
映画『横浜事件に生きて』
日本映画 1990年制作 58分
参加費:一般1000円 学生600
++++++++++++++++++++++++++++++++
憲法を考える映画の会準備会試写会(2016/12/20・原宿)のご案内
と き:2016年12月10日(土)13時半〜16時半
ところ:千駄ヶ谷区民会館第一会議室(原宿駅下車10分)
渋谷区神宮前 1-1-10
映 画:『横浜事件を生きて』1990年日本映画 58分松原明監督
『映画『100年の谺(こだま)─大逆事件は生きている』2012年 日本映画 90分田中啓監督
入場料:無料・カンパ(会場費÷参加者)希望
******************************
いま、安倍政権内で進められている「共謀罪」は「治安維持法の再来」とも「平成の治安維持法」とも言われます。
戦前の思想弾圧に猛威をふるった「治安維持法」が当初、天皇制や私有財産制度に反対する人を対象としましたが、それが侵略戦争に反対したり、政治にものを言う人たち・団体にも広く使われるようになり、市民生活は窒息されられ、その結果、戦争への道をつき進むことになったものであるからです。
そこで準備会では「治安維持法」について知り、考えることのできる映画を探し、この『横浜事件を生きて』と言う映画をプログラムに選びました。
これらの映画に関心のある方、また秘密保護法、戦争法制、共謀罪法制など戦争への道を開く動きを何とかしなければとか思っている方はお時間の許す限りいらっしゃってください。
(写真は朝日新聞神奈川版に載った映画「横浜事件を生きて」の紹介記事)
【映画の解説】
横浜事件を知っていますか?
横浜事件は1942年から45年にかけて多数のジャーナリスト・知識人が検挙され、事実無根の共産党再建をでっちあげられ特高から激しい拷問を受けたもの。死亡者も出た。
出版記念の慰安旅行の1枚の写真が、共産党再建準備会の証拠とされた。
拷問による自白をもとに有罪とされたが、戦後関係者が立ち上がった。
このビデオはその生き残りのひとりである木村亨さんの再審請求のたたかいを中心に構成されている。
今も続いている事件なのだ。元特高警察官が電話インタビューで語る本音。
古いニッポンはまだ生きていた。
★万人に見てほしい=白井佳夫(映画評論家)
ビデオ「横浜事件を生きて」は、抑制の効いたリアリズムで日本の歴史のなかにある重要な事件を、万人にわかる形で映像化したきわめてユニークな作品である。この題材は、もっとセンセーショナルにもっとイデオロギー的に、あるいは過激に映像化することも可能であったはずである。しかし、この映像の作者はそれをやらなかった。まるで NHKテレビに放映されてもまったくおかしくないような抑制力と普遍的な映像表現力で、それを誠実にビデオ化した。1990年代の日本で、映像を使って表現されるものは、このような形でなければならないと私は思う。あえてこのビデオを万人が見てくださるように願うゆえんである。
★「昭和」考えるヒント=土本典昭(記録映画監督)
ビデオという方法を活かしたいい作品ができた。今まで横浜事件のことを知らなかったことが、まずいくらいの感じがしたが、その知らなかった引け目を感じさせないで見せてくれた。事件の発端となった紋左旅館の思い出から入って、時代背景を見せていく進め方、そして最後に現代の警察制度への問いかけ。二人の特高が現在も生きていて、それをナマに木村亨さんにぶつけた時の効果もまずまず出ていた。話題性、発見性もある。この作品は、いわばテキスト映画というか、みんなで見て、改めて「昭和」を考え直すヒントになるだろう。
【映画の感想】
「横浜事件」をご存じですか?
横浜事件は、第二次世界大戦中、雑誌に掲載された論文がきっかけとなり編集者、新聞記者ら約60名が治安維持法違反の罪で逮捕され、30人が有罪、4人が獄死した戦時下最大の言論弾圧の事件といわれているものです。
私たちは、臨時国会での提出が検討され、次の国会で必ず提出されるだろうとされている「共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)法案」が、「平成の治安維持法」と言われていることを聞いて、治安維持法についてよく知ることのできる映画はないかと探した中で、この『横浜事件を生きて』という映画があることを知りました。
横浜事件は1942年から45年にかけて多数のジャーナリスト・知識人が検挙され、事実無根の共産党再建をでっちあげられ特高から激しい拷問を受けたもの。死亡者も出た。
出版記念の慰安旅行の1枚の写真が、共産党再建準備会の証拠とされた。
拷問による自白をもとに有罪とされたが、戦後関係者が立ち上がった。このビデオはその生き残りのひとりである木村亨さんの再審請求のたたかいを中心に構成されている。
今も続いている事件なのだ。元特高警察官が電話インタビューで語る本音。古いニッポンはまだ生きていた。(映画『横浜事件を生きて』解説ホームページより)
映画『横浜事件を生きて』は1990年制作の作品ですので30年近く前の映画です。
しかし、横浜事件で弾圧、拷問を受けた木村亨さんはじめ当事者の生々しい証言は、生涯をこの事件によって費やされてしまった木村さんたちの悔しさと憤り、「何とかそれを伝えなくてはならない」という、止むに止まれぬ気持ちが強く伝わってきます。
同時に強く感じたのは、ここでも官僚、政治家による戦争責任が何らとられていないことです。映画の中で治安維持法を「まさにこの法律が、アジアの3000万人のいのちを奪った日本の侵略戦争を支えました」と解説しています。
こうした言論を弾圧し、人権を蹂躙する方法で政治を行い、多くの国民と侵略した国々の人々の生命と生活を奪った政治家、官僚が、その反省もなくそのまま戦後の統治を引き継いでいったということです。
映画の中でも戦前、内務省警保局長として特高警察の元締めの役をしていた内務官僚唐沢俊樹が、戦後、岸信介内閣で法務大臣を務めている例が紹介されます。
戦前、戦時中にやったことに対して反省も責任も取らないで、同じ形で引き継いだのは司法、裁判所も同じです。
治安維持法は終戦後、1945年10月までの間、法律として持続されました。その間に、裁判所はこの横浜事件の容疑者に対する有罪判決を駆け込みのように行ったのです。
木村さんたちが1986年と1988年に行われた再審請求においても、裁判所は自分たちで記録を焼き捨てておきながら「裁判記録がない」とい
う理由で再審できないとしています。
戦後の政治は「侵略」を行ったという国外に対する戦争責任をとらないとともに、司法、裁判所も人権を蹂躙し、国民の弾圧を行ってきた国内の政治に対して何の責任もとっていないのです。だから繰り返されることになるのだと痛感しました。
映画は人権を無視したほとんど暴力的な取り調べが今も行われている横行していることを明らかにします。
そしていま、責任をとらなかっただけでなく、戦前と同様、こうした権力のやりたい放題に道を開く政治と法制が矢継ぎ早に進められています。
2014年に戦前の軍機秘密法に該当する「秘密保護法」を強行採決し、すでに自衛隊の派兵に関する書類は黒塗りにされ、国民にはわからないようにされています。2015年9月には戦後70年、曲がりなりにも平和を守ってきた憲法を解釈改憲し、戦争できる国にする「安保法制」を強行採決しました。
そしてこの治安維持法以上に警察権力が思いのままに取り締まりに利用できる危険をはらんだ共謀罪新法案が提出されようとしています。
私たちは、来年1月29日の「憲法を考える映画の会」で、この映画の上映を決めました。これから進められようとしている共謀罪新法案がいかに治安維持法と同じ危険性をはらむものなのか、憲法が守ってきた人権や国民主権、民主主義というものを壊していくものなのかをきちんと把握して反対していくために、この『横浜事件を生きて』を選びました。
この映画を活用して、今の危険について考える機会を是非、作って行きたいと思っています。
木村さんは映画の最後、早稲田大学で行われた講演で次のように訴えています。
「人権問題の最後の砦だと言われるのが最高裁判所なんですが、はたして民主的な裁判ができるのかどうか、むしろ我々はこれを監視しなければいかんと思っております。みなさんもひとりひとりが主権者ですよ。国の主権者であるひとりひとりは裁判官を監視する権利があります。われわれは、もしこれを却下するようなことがありましたら断じて許しません。」「我々は情けないことに、あの侵略戦争に屈し、拷問に屈し、敗北に敗北を重ねましたが、もうこれ以上は許せない、私たちは、とことんまで闘いますからどうぞ主権者であるみなさんが最期まで見届けてください。」
木村さんが生きておられたら、戦争できる国にし、言論を封殺できる法律を再び作ろうとしている今の日本の政治状況を見てどう思われるでしょう。
【スタッフ】
語り手:常松 理美子
企画:庄 幸司郎
撮影・演出:松原 明
取材:浅沼 幸一 友寄 貞丸 町田 昌志 矢野 功
マンガ:片寄 みつぐ 野中 ひろし 森熊 猛
題字:ヤマザキサダオ
資料提供:赤塚 久仁子 水島 一子 中村 智子 渡邉 悦次
協力:酒井栄 藤井 良平 安達 晴子、日本評論社 紋左旅館 わだつみ会 社会文化会館
制作:「横浜事件を生きて」ビデオ制作委員会 映像事務局
解説ホームページ:http://vpress.la.coocan.jp/yokohama.html
1990年制作・日本映画・58分
【上映・販売利用の問合せ】
DVD頒価5000円 団体15000円
問合せ:ビデオプレスTEL03-3530-8588 FAX03-3530-8578
mgg01231@nifty.ne.jp
【ビデオの申し込み】はこちらへ。
TEL03-3530-8588 FAX03-3530-8578
●2005~2006年に行われた再審裁判の記録「横浜事件再審裁判ドキュメント」(12分・3000円)もあります。
ad
関連記事
-
One Shot One Kill
米海兵隊・ブートキャンプ(新兵訓練所)の12週間の訓練に密着した衝撃作 人は人を殺すように
-
証言 中国人強制連行
1942年秋、東条内閣は中国人の強制連行を閣議決定。主に中国の華北地方で行われた強制連行作戦
-
自主制作上映映画見本市#5
「自主制作上映映画見本市#5」のご案内 と き:2021年2月23日(火・休)9時30分〜16
-
第9回むのたけじ反戦塾(2024年8月17日)
第9回むのたけじ反戦塾 日時:2024年8月17日(土)13:30〜17:00 会場:文京区民セ
-
あいちトリエンナーレ《表現の不自由展:その後》再開を明日につなげる報告集会
『あいちトリエンナーレ 《表現の不自由展:その後》』再開を 明日につなげる 表現ネット10月14日
-
憲法を考える映画のリスト2021年版
憲法を考える映画のリスト2021年版 「憲法を考える映画のリスト2021年版」のご案内
-
映画『わたしの自由について SEALDs2015』
映画『わたしの自由について SEALDs2015』 2016制作 / 日本映画 /西原孝至監督作品
-
第3回「憲法と市政を考える映画会」@立川 『白バラの祈り ゾフィー・ショル、最後の日々』上映会
第3回「憲法と市政を考える映画会」@立川 『白バラの祈り ゾフィー・ショル 最後の日々』 と
ad
- PREV
- 『もう一つの約束』
- NEXT
- 憲法を考える映画の会あとおいニュース第7号