憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (249) 映画『敵こそ、我が友 ~ 戦犯クラウス・バルビーの3つの人生』
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (249)
映画『敵こそ、我が友 ~ 戦犯クラウス・バルビーの3つの人生』
(初出2008年7月21日掲載・蓼沼紘明 記)
クラウス・バルビーはナチスの親衛隊に所属し、第二次大戦中にユダヤ人を迫害しました。ところがバルビーは戦後アメリカ軍のスパイとなり、やがて革命家チェ・ゲバラの暗殺計画にも加わることになりました。バルビーは1987年にフランスでの裁判でナチス時代の罪を問われて終身刑を宣告されたのですが、なぜそれまで生きのびることができたのでしょうか。それは戦後アメリカが冷戦を勝ち抜くためにバルビーを利用したからでした。
バルビーの犯した罪は決して許されるものではありません。しかし、バルビーという人間を利用したアメリカという国の行為にも目を向けなければならないと思います。
第二次大戦の直後から国際社会は冷戦体制に飲み込まれることになりました。西側の国も東側の国も冷戦に勝ち抜くためという目的で様々な施策を講じることになりました。そのような状況の中でバルビーはアメリカという国に利用されたのです。バルビーは利用価値があるとし、アメリカはかつての敵であったバルビーとも手を結んだのです。
この映画はバルビーが犯した罪を中心にしつつ、彼が生きた時代と社会を問うドキュメンタリーだと言えます。日本も日本国憲法制定後まもなく冷戦構造の進展の中で、アメリカの戦略に組み込まれることになりました。そして日本国憲法の平和主義の理念がどんどん掘り崩されることになりました。国家というものは時としておかしな方向に向かったり、おかしなことをしでかすことになります。そこで国家権力を制限する規範として憲法というものができたのですが、民主主義の国では国民の「支持」を受けて政府が政策を実行することになります。したがって、最終的には国民が国家というものにどう向き合うかということが重要となります。バルビーとアメリカの関係からもそのことを深く考えさせられます。
【映画情報】
2007年フランス映画
1時間30分
監督:ケヴィン・マクドナルド
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