憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (133) 『フラガール』
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (133)
『フラガール』
(初出2006年10月2日掲載・H.T.さん記)
以前家族で、福島県いわき市にある「常磐ハワイアンセンター」に行ったことがあります。
ハワイアンダンスあり、歌あり、温泉ありのリゾート施設です。
いわき市といえば、本州一の生産量を誇る常磐炭鉱の町というイメージでした。
なのになぜハワイアン?とちょっとびっくりしました。
今回の映画で、なぞが解けました。
1965年、常磐炭鉱は、石炭産業の斜陽化で収益が悪化し、大幅な人員整理が迫り、
かつての活気はなくなっていました。
数世紀も前から炭坑夫として、あるいは選炭婦として働いてきた男たちや女たちは途方にくれていました。
そんな中で持ち上がったのが、“常磐ハワイ”をつくろう、観光の町として生き返ろうという一大プロジェクトです。
目玉はフラダンスショー。盆踊りしか知らない炭鉱娘たちにダンスを教えるため、東京からダンス教師平山まどか(松雪泰子)が呼び寄せられます。
“求む、ハワイアンダンサー”の貼り紙を見て早苗(徳永えり)や紀美子(蒼井優)たちは集まります。紀美子の父は落盤事故で亡くなっていました。
しかし、集まった娘たちは、「へそ丸出しでねえか」と次々と去っていきます。
まどかも、そんな田舎娘たちをバカにして、やる気になれません。
しかし、母・千代(富司純子)の猛烈な反対を押し切った紀美子や早苗、子持ちの初子ら数人は必死の特訓に耐えて頑張ります。
これしかないのだと。そんな娘たちを前に、まどかの目の色が変わります。
娘たちの進歩と変化、関係者皆の情熱が一つに結晶したフラダンスの初日シーンは感激です。常磐ハワイアンセンターは、今「スパリゾート・ハワイアンズ」と名前を変えて、お客さんがたくさん集まっているようです。
時代の変化で地域や産業の栄枯盛衰は避けられません。
そして、経営者たちはお金を残しても、働いていた人々の生活は捨てられます。
たまったものではありません。
だからこそ、憲法は勤労権(27条)を保障し、国や自治体は働く場をつくる義務があります。
しかし、なかなかその腰は重いものであり、頼ってばかりではいられません。
この映画は、働く人たちに大きな勇気と感動を与えてくれるでしょう。
【映画情報】
制作:2006年 日本
監督:李相日
時間:120分
主な出演者:松雪泰子/蒼井優/徳永えり/豊川悦司 /岸部一徳/冨司純子
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