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憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (40) 『真実のマレーネ・ディートリッヒ』

公開日: : シネマDE憲法, 作品紹介

憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (40)
『真実のマレーネ・ディートリッヒ』
(初出2005年2月7日掲載 F.Jさん記)
真実のマレーネ・ディートリッヒ

激動の20世紀を代表する名女優マレーネ・ディートリッヒ(1901-1992)の生涯を彼女の孫が綴ったドキュメンタリー。
秘蔵フィルム、娘や関係者のインタビューをもとに、彼女の真実に迫る。
プロイセン生まれの厳かな気質の一方で、ワイマール期から舞台や銀幕では『嘆きの天使』に観られるよう艶やかで華やかな姿が映える。
渡米し、ハリウッドスターの仲間入りをした頃から、歴史の渦に巻き込まれることになる。

1933年、ナチスが政権を掌握し、ユダヤ人迫害、戦時色が強まると、母と姉を残し、夫と娘を連れドイツから離れざるを得なくなった。
この時期、多くの知識人・文化人が、その思想・活動ゆえに同様の境遇にあったことは、いま思い起こされるべきだろう。
究極の美を追求し、政治に無関心を振舞ったレニ・リーフェンシュタール(1902-2003)とは対照的である。  1939年、ゲッベルス宣伝相の企図するドイツ映画への復帰要請を拒否したマレーネは、アメリカの市民権を取得し、ナチスには上映禁止など国家の敵の烙印を押された。
失ったドイツの憧憬を胸に「たたかい」を決心した彼女は、連合軍と供に最前線を訪問し、その歌声で兵たちを支えた。
各地で敵味方を問わず人気を集めたのが、名曲「リリー・マルレーン」である。

戦後、彼女への風当たりは様々で、ドイツに長くはとどまらず、ナチスの被害を受けた東欧、イスラエルなどを訪問した。
しかし、彼女は、故郷ドイツを真に愛し続け、その使命を全うした。
彼女が『ニュールンベルグ裁判』で演ずる、ナチス政権下ごく普通の市民であり続けることの悲劇は、「彼女の人生に起きたこと」を観なければ理解できないだろう。

【製作年】 2001年
【公開年】 2003年
【製作国】 フランス/ドイツ/アメリカ
【原題】  Marlene Dietrich: Her Own Song
【監督】  J・デヴィッド・ライヴァ
【出演】   ジェイミー・リー・カーティス(ナレーション)
マレーネ・ディートリッヒ
ジャン・ギャバン
マリア・ライヴァ
ニコラス・フォン・スタンバーグほか

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