憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (111) 『バッシング』
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (111)
『バッシング』
(初出2006年6月26日掲載・H.T.さん記)

イラクで子どもたちのためにボランティア活動を行っていた高遠菜穂子さんら日本人3人が人質にされる事件が起きてから、
2年あまりたちました。
3人は、解放前から日本政府をはじめマスコミや一般の人々からも、人質になったのは「自己責任」だという激しい非難を受けました。「3バカ」などインターネット上の攻撃もすさまじいものでした。
自国民に対するこのような現象は、他の国では通常考えられないことで、
アメリカの国務長官までもが日本の市民社会の異常さにびっくりしていました。
(3人の人質事件に対するバッシングについては当サイトでの熊岡路矢さんの「今週の一言」でもコメントされています)。
この人質事件をモチーフにして作られたのが、映画「バッシング」です。
北海道の海辺の町で暮らす有子は、中東でボランティア活動中、武装グループに拉致監禁され、無事帰国します。
やがてアルバイトを始めますが、次第に人質だったことが明らかになり、同僚や客の若者たちから冷たい嫌がらせを受けます。
匿名の脅迫めいた電話もひっきりなし。
嫌がらせは、父親の職場にまでおよび、彼女とその家族は追い詰められていきます。
この映画は、人質事件を超えて、政治的な少数者や社会的に弱者と言われている人々にとって、この国はこんなに居場所がない国だ、
ということを突きつけているようにも思えます。
国際的には高い評価を得たこの映画の日本での上映自体、上映お断りが続き、やっと公開にこぎつけたとのことです。
政府の方針と異なる行動をとる者に対する社会の排撃は、2年前より一層強くなってはいないと、誰が言えるでしょうか?
【映画情報】
制作:2005年 日本
監督:小林政広
主な出演者:卜部房子/大塚寧々/田中隆三
上映館:渋谷シアター・イメージフォーラム 大阪・九条シネ・ヌーヴォ他で公開中
上映問い合わせはバイオタイド TEL 03(5389)6605
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