憲法映画祭2017
憲法映画祭2017
【憲法映画祭2017】のご案内
と き:4月29日(祝)30日(日)
ところ:日比谷図書文化館・コンベンションホール
テーマ「今は、もう“戦前” なのですか? 」
憲法施行70年の今年、憲法記念日前の二日間。戦争と憲法の“いま” を考えます。
4月29日(祝)10時30分〜16時40分 「ドイツにおける戦争責任」
10時30分〜11時10分
『意志の勝利』(114分・1934年・ドイツ)*ナチス党大会の第一日目のみ上映
11時20分〜13時30分
『白バラの祈り ゾフィー・ショル最期の日々』(121分・2005年ドイツ)
13時40分〜14時20分
『夜と霧』(32分・1955年・フランス)
14時30分〜16時40分
『顔のないヒトラーたち』(123分・2014年・ドイツ)
4月30日(日)10時30分〜16時40分 「戦争と日本国憲法」
10時30分〜12時20分
『戦争しない国 日本』(90分・2006年・日本)
12時40分〜14時20分
『大東亜戦争』(98分・1968年・日本)*この作品のみ入場無料
14時20分〜15時00分
お話「報道の欺瞞と“いま”(仮題)」金平茂紀さん(ジャーナリスト)
15時10分〜16時40分
『天皇と軍隊』(90分・2009年・フランス)
入場料:1日券一般1500円 学生500円
■作品紹介
『意志の勝利』
(114分・1934年・ドイツ)*ナチス党大会の第一日目のみ上映
4月29日 11時20分〜13時30分
《映画の解説》
『意志の勝利』は、古都ニュルンベルクで1934年9月4日から6日間行われた国家社会主義ドイツ労働者党(ナチ党)の第6回全国党大会を撮った記録映画。
ヒトラーの直接命令で、宣伝相ゲッペルスのもと、レニ・リーフェンシュタールが監督したナチスのプロパガンダ映画の典型。多くのドイツ国民は,何に酔わされ、何に歓喜したのだろうか。(今回は党大会の第一日目のみ上映)
《上映会のねらい》
ナチスが短時間の間に独裁政権を作り上げた力になったものに、大衆の不満を吸い上げていったことと、その宣伝が上手だったことがあると言われています。
とくに映像を活用したことは有名です。よく知られているのはこの作品と同じレニ・リーフェンシュタールが監督した1936年のベルリンオリンピックを描いた記録映画『民族の祭典オリンピア』です。『意志の勝利』はそれより前のまさにヒットラーが総統として国家の最高権力者になった直後の映像で、興隆期のナチスを描いて映像の効果を知らしめた作品です。言わばプロパガンダ映像の代表で、広告代理店などにおいても映像を利用する役割の原点ともとられています。
2020年の東京オリンピックをどのように政治的プロパガンダと企業利益に活かし、利用していくか広告代理店もメディアも、政権もこぞって画策しています。いま改めてこのナチス宣伝映画を見ると、その熱狂の裏に感情を揺すぶられて正確に批判的に物事を見たり、しっかり自分で考えたりすることを放棄した結果があのような狂気を生んだことを感じます。そして今の私たちはどうなのでしょうか?
『白バラの祈り ゾフィー・ショル最期の日々』
(121分・2005年・ドイツ)
11時20分〜13時30分
《映画の解説》
ヒトラー政権下で反ナチスを掲げ、抵抗運動を行なった学生グループ“白バラ”の紅一点、 ゾフィー・ショルの壮絶な最期を描いた真実の物語。ゾフィーが大学構内で逮捕され、わずか4日後に“大逆罪”によって処刑されるまでの詳細を、90 年代に東ドイツで発見された尋問記録を軸に再現、新たなゾフィー像を浮かび上がらせるとともに、巨悪に敢然と 立ち向かった一人の若き女性の勇気と悲愴な運命をスリリングに描き出す。
(作品の詳しい解説は「シネマ・DE・憲法」2006年3月20日にも)
《上映会のねらい》
そのような宣伝力によって圧倒的な支持を得たナチスは、周辺各国に向け戦争を始め、国内ではどのようなことをやっていたのでしょうか。
ここではそうしたナチスの政治に疑問を抱き、戦争に反対するビラを撒いた罪で処刑された女学生ゾフィー・ショルの4日間が劇映画の形で描かれています。
ここでは警察国家としてナチスが国内に向けてどんな弾圧をしてきたのかという面を見たいと思います。ナチスは国民をこうして戦争への道を推し進めた。反対のビラを撒いただけの学生を4日間で処刑してしまった裁判所を含めて戦争によってどんなことでもできる国にするため、軍事国家、警察国家を作り上げてしまった。処刑された犠牲者は3000人に及んでいます。
でもそれと同じことは日本でも起きていた。それも知らされず、国民は考えず、迎合さえしていた。そして今もそうした戦争への準備、戦争に反対するものへの弾圧の準備が進められています。
『夜と霧』
(32分・1955年・フランス)
4月29日 13時40分〜14時20分
《映画の解説》
第二次世界大戦中、ナチがアウシュヴィッツのユダヤ人強制収容所でユダヤ人を虐殺した事実(ホロコースト)を告発したドキュメンタリー映画。全32分という短い作品だが、撮影当時の映像のカラーフィルムと、戦時中のモノクロのニュースフィルム・写真が交互に往還するコラージュの手法でナチズムを告発した斬新な表現は、当時、世界に衝撃を与え、論争が巻き起こった。
《上映会のねらい》
国内において戦争に反対するものへの弾圧が続けられた間にも、戦場とは違うところで多く罪のない人が無残に殺され続けました。そしてそれを多くのドイツ人は全く知らなかった。それを世界に知らしめた映像の第一作がこのアラン・レネ監督の『夜と霧』です。こんなことが人間にできるのだ。しかも独裁と戦争国家においては国民に知らせずに行われたのだ。そのこと自体に衝撃を受けます。
しかし日本軍も重慶爆撃,南京大虐殺、731部隊による人体実験と、戦場の至る所で同じような虐殺をやってきました。それは軍人、兵士を以外に国民の誰が知り得たのでしょうか。それは戦後、正しく語られ、伝えられてきたでしょうか。
そこに軍隊のもつ秘密性と閉鎖性があり、そうしたことを維持していけるようにする軍事国家、独裁国家、そして警察国家を作ろうとする企みが浮かび上がっています。
たとえば自衛隊員が何をやっているかについても都合の悪いことは一切、軍事機密の名の下に知らそうとしない権力者の支配構造はすでにできあがっています。そしてさらに今また「戦争のできる国」にするためこの国の中で繰り返されようとしていることです。
『顔のないヒトラーたち』
(123分・2014年・ドイツ)
4月29日 14時30分〜16時40分
《映画の解説》
フランクフルトを舞台に、ナチスドイツによるホロコーストに関わった収容所の幹部を戦後ドイツ人自身によって裁いた1963年のフランクフルト・アウシュビッツ裁判開廷までの道のりを、フィクションを交えつつ事実に基づいて描いたドラマ。この裁判は、ドイツ社会を「過去との対決」へ突き動かした、重要な出来事だった。
(作品の詳しい解説は「シネマ・DE・憲法」2016年7月4日にも)
《上映会のねらい》
「天皇も政治家も役人も、もちろん軍人も日本では戦争責任をきちんととろうとして来なかった」といわれる中で「その点、東西に分けられたドイツでは徹底してナチズムは払拭され、戦争責任問題は政治家や国民の意識になっている」と聞いていました。ところがその責任追及と完全なナチス払拭は、戦争からずいぶんたってからの1960年代、この映画にも出てくるバウアー検事総長らの努力によって起こされたアウシュビッツ裁判を契機にしてからのことだと言うことをこの映画を見て知りました。ならばどのようにドイツ国民の中に戦争責任問題は認識されていったのか,この映画を見て考えたいと思いました。
今の安倍政権や自民党政治は戦後、一貫して戦争を起こした責任問題から目をそらし、それを伝えようとするものを妨げようとしてきました。それもやはり「戦争をする国」にするねらいのもとにあるものです。国民の認識として戦争責任を自覚し、歴史に学ぶことを通して作り上げていかなければならないことをこの映画は教えてくれます。
4月30日(日)10時30分〜16時40分 「戦争と日本国憲法」
10時30分〜12時20分
『戦争しない国 日本』
(90分・2006年・日本)
《映画の解説》
日本国憲法とその平和主義をめぐる規定は、 なぜ、どのように誕生したのか?それは日本社会と国際社会にどのような役割を果たしてきたのか?日本国民はそれをどのように受けとめ、憲法9条を守ろうとしてきたのか?戦前から戦中、戦後にわたる歴史的な映像によって検証する。
《上映会のねらい》
2006年安倍第1次内閣が成立したときの場面で、この映画が終わっていることが示しているように、安倍政権の登場と憲法改悪の危機意識の中、日本の近現代史の中で憲法9条の意味を改めて問い直そうとしている作品であることがわかります。とくに、基地闘争、原水爆禁止運動や安保闘争、沖縄返還運動など繰り広げてきた戦後の市民運動の紹介に時間を割いている点もこの作品をもう一度見てみようと思ったポイントです。
単にこんなことがあったと歴史の事件として追うだけでなく、私たちは今の状況をどのようにどう闘っていかなければならないかを「平和を守るために日本を戦争する国にしないために闘ってきた」先人たちの努力から学んでいきたいと考えました。
12時40分〜14時20分
『大東亜戦争』
(98分・1968年・日本)*この作品のみ入場無料
《番組の解説》
映画監督・大島渚が、日本テレビのプロデューサー、牛山純一の下で手がけたアーカイブ・ドキュメンタリー。あえて「大東亜戦争」と銘打たれた資料映像で全編が構成され、悪化する戦況の合間に挿入される為政者の“大本営発表”の言葉が、今の時代を討つ。(この作品のみ入場無料)
(作品の詳しい解説は「シネマ・DE・憲法」2017年2月27日にもあります)
《上映会のねらい》
冒頭に「このフィルムは、すべて大東亜戦争当時、撮影されたものである。言葉、音、音楽もすべて当時、日本人によって録音されたものである。」とあるように、極めて客観的にこの映像と音声を流した側とそれを受け止めた側の思うところを追体験、再現しようとしています。
勝ちいくさのうちは「行け行けどんどん」ですが、負け戦になっても「言葉の言い換え」を行って真実を伝えようとしない当時に大本営発表の欺瞞性がありありと見え、現実との乖離、破綻してくのを戦中の国民が耳にしていたことを追体験することになります。
こんな言葉に踊らされていたのか、と、歴史を経てその結末を知った目から見ればお思いでしょうが、私たちは今、これと同じような「言葉の言い換え」「ウソ」「言い逃れ」にさらされています。それをすでに「おかしい」とも声を出さなくなっているのではないでしょうか。
14時20分〜15時00分
お話「報道の欺瞞と“いま”(仮題)」金平茂紀さん(ジャーナリスト)
@font-face { font-family: “MS 明朝”; }@font-face { font-family: “Cambria Math”; }@font-face { font-family: “@MS 明朝”; }p.MsoNormal, li.MsoNormal, div.MsoNormal { margin: 0mm 0mm 0.0001pt; text-align: justify; font-size: 10.5pt; font-family: “Times New Roman”; }.MsoChpDefault { font-size: 10.5pt; font-family: “MS 明朝”; }div.WordSection1 { }
「座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバル」でテレビ番組の『大東亜戦争』を見た後のトークがジャーナリストの金平茂紀さんでした。そしてその後の話の内容は,大本営発表の欺瞞性をめぐるもので、それと現在のマスメディアの問題でした。そこで金平さんにこの『大東亜戦争』を見た後、お話をいただくことにしました。
15時10分〜16時40分
『天皇と軍隊』
(90分・2009年・フランス)
《映画の解説》
9条はなぜ必要だったのか? なぜ天皇制は存続したのか? 昭和天皇と自衛隊を正面から見据えたフランス制作ドキュメンタリー。冷戦期アメリカの庇護のもとで、日本は世界大戦の荒廃から経済的復興を遂げた。ソ連の崩壊、中国の市場開放、欧州統合とグローバリゼーションの波は、日本の政治に舵を切らせた。世界の中の日本のプレゼンスを高めるための“国際貢献”である。
(作品の詳しい解説は「シネマ・DE・憲法」2015年10月19日にも)
《上映会のねらい》
ラストは日本の戦後の国民の意識の問題を考えていきたいと思います。「天皇と軍隊」と題名にあるのですが、天皇の問題ではなく、私たちの意識の問題です。それは私たちが憲法をどうしていこうとしていくか、あるいはどうして欲しくないと思っているのか、ひいては私たちはどのような社会と世界と政治を望んでいるかにかかってくると思います。
問題をできる限り明らかにし、そこから自分はどうするのか、それしか出発点はないのではないかと思います。70年目の憲法記念日を前に改めて歴史を見直し、考え、自分たちの望むものを明らかにし,動いていく。そのような想いを込めてこの憲法映画祭を企画し、実行したいと思っています。
憲法映画祭2017 企画意図
@font-face { font-family: “MS 明朝”; }@font-face { font-family: “MS ゴシック”; }@font-face { font-family: “Cambria Math”; }@font-face { font-family: “@MS ゴシック”; }@font-face { font-family: “@MS 明朝”; }p.MsoNormal, li.MsoNormal, div.MsoNormal { margin: 0mm 0mm 0.0001pt; text-align: justify; font-size: 10.5pt; font-family: “Times New Roman”; }.MsoChpDefault { font-size: 10.5pt; font-family: “MS 明朝”; }div.WordSection1 { }
@font-face { font-family: “MS 明朝”; }@font-face { font-family: “MS ゴシック”; }@font-face { font-family: “Cambria Math”; }@font-face { font-family: “@MS ゴシック”; }@font-face { font-family: “@MS 明朝”; }p.MsoNormal, li.MsoNormal, div.MsoNormal { margin: 0mm 0mm 0.0001pt; text-align: justify; font-size: 10.5pt; font-family: “Times New Roman”; }.MsoChpDefault { font-size: 10.5pt; font-family: “MS 明朝”; }div.WordSection1 { }
憲法を考える映画の会では、70年目の憲法記念日を前にした2017年4月29日、30日の二日間、日比谷図書文化会館コンベンションホールで「憲法映画祭2017」と称した映画会を行います。
私たちがこの憲法映画祭を企画し、プログラムを選ぶに当たって考えたことを上映作品の解説とともに紹介させていただきます。
今回のテーマは「今は、もう戦前なのですか?」
自民党と公明党が支える安倍政権は,政権成立以来、「戦争できる国」をめざし、法律や制度や解釈を強引に変えることで着々とその実現を図ってきました。
しかもそのやり方は、まともな論議をせずに、話を聞かず、数の力のみで強行するしか能の無いこともあきらかですが、私たちはそれを止める手立てもないまま押し切られてしまっています。
こうした状況について思うのは、かつて戦前の政治においても同じようなことが行われてきてそれが繰り返されてきたのではないかと言うことです。
そこで今回、私たちは戦争と国民の政治をもう一度、今の時点でとらえ直すために、ドイツと日本の戦前、戦中、戦後をとらえた映像を見て「どのように戦争への道は用意されたのか」また「どのように報道は国民に事実,真実を伝える役割を放棄し、権力にすり寄っていったのか」「戦後どうして戦争責任や戦争を起こした責任が自分たちのものであるという認識をしなかったのか」という点について映画を見ることをきっかけに考えていきたいと思いました。
取り上げた映画は、製作された年代も、製作の背景も、また表現の形態も違うものですが、こうした問題意識を持って、映像を見て、考えて、それぞれ話し合っていただきたいと思っています。
二日間の憲法映画祭を通して,戦前、戦中、戦後、国民は何を知らされていたのか、国民はちゃんと考えたのか、そして国民は自分たちのしてしまったことに対して責任を感じていたのか、ということをもう一度考えたいと思います。
それは、今知らされていない、考えていない、つまり同じようなことが進められていると言うことに対してまた責任をとらないと言うことにならないか、問いかけていきたいと思います。S.H.
ad
関連記事
-
自主制作上映映画見本市#6
自主制作上映映画見本市#6 【上映情報】 自主制作上映映画見本市#6 日時:
-
闇に消されてなるものか 写真家 樋口健二の世界
映画『闇に消されてなるものか 写真家 樋口健二の世界』 【上映情報】 第2回 憲法を
-
隠された爪跡 払い下げられた朝鮮人
第38回憲法を考える映画の会 と き:2017年10月14日(土)13:30~16:30 ところ
-
第4回むのたけじ反戦塾(拡大学習会)
第4回むのたけじ反戦塾(拡大学習会) と き: 2023年8月26日(土)13時30分〜16時
-
憲法映画祭2016 5月1日
憲法映画祭2016 と き:2016年5月1日(日)11時〜19時 ところ:東京体
-
「パレスチナ・ガザのドキュメンタリー映画 8.8 緊急上映会のご案内
「パレスチナ・ガザのドキュメンタリー映画 8.8 緊急上映会 Here and Now 私たちにで
-
第73回憲法を考える映画の会『流血の記録 砂川』
第73回憲法を考える映画の会『流血の記録 砂川』 と き:2023年12月23日(土)13時半〜1
-
映画「わたしの描きたいこと─絵本作家クォン・ユンドクと『花ばぁば』の物語」
映画「わたしの描きたいこと─絵本作家クォン・ユンドクと『花ばぁば』の物語」 上映情報 と き
-
第51回憲法を考える映画の会(2019/6/30)
第51回憲法を考える映画の会『 沖縄から叫ぶ戦争の時代 』『 宮古島からのSOS 』