映画『首相官邸の前で』
映画『首相官邸の前で』
【映画の解説(チラシ・ホームページより転載)】
2012年夏、東京。約20万の人びとが、首相官邸前を埋めた。NYの「ウォール街占拠」の翌年、香港の「雨傘革命」の2年前のことだった。
しかしこの運動は、その全貌が報道されることも、世界に知られることもなかった。
人びとが集まったのは、福島第一原発事故後の、原発政策に抗議するためだった。事故前はまったく別々の立場にいた8人が、危機と変転を経て、やがて首相官邸前という一つの場につどう。彼らに唯一共通していた言葉は、「脱原発」と「民主主義の危機」だった――。
はたして、民主主義の再建は可能なのか。現代日本に実在した、希望の瞬間の歴史を記録。
【映画の感想】
「民主主義って何だ?」「これだ」安保法案をめぐって国会前に大勢の人が詰めかけましたが、その原点はここにあったのかと。
誰も代表になろうとしない、と言うところがおもしろい。自然発生的に「あ・うん」の呼吸でそれぞれがやること、役割分担が決まっていったのでしょうか?
いや、それぞれ思うところが一緒だったから、同じ気持ちで「何とかしなければ」と言う、やむにやまれぬ気持ちで集まってきた人たちだからそのように一緒に一斉に仕事をすることができたのでしょうし、人がどんどん増えていったのでしょう。それは秘密保護法反対のときも、安保法案のときも同じだったと思います。
いままで自分が街頭でマイクを持って話すなんて思ってもいなかった。そんなおばさんやお兄さんが「やむにやまれぬ気持ち」で一歩踏み出して、声を上げ話し始めたときにその人の中できっと何かが変わり、そして世の中が少しずつ変わったような気がしました。そんな瞬間を見ることが出来たように感じる映画です。
インターネット(YouTube)に在った動画でおもに編集された作品と聞きました。それらの動画に息づいている「発信したい」「知ってほしい」という強い意志が乗り移っているかのような作品でした。それは「報道機関から一切無視された」と言うことがバネになったのかもしれません。
この新しく生まれつつあるもの、民主主義をどのように根を拡げ根強いものにしていくか、考えたい作品です。
それにしても国会周辺を包んだ20万人のデモが大手の報道各社から一切報道されなかったのはなぜ?その反省というか検証さえも報道側からひとことも出てきていないのは、いったいこれらの各社にいる人たちは何を考えて仕事をしているのか、仕事をしていないのか,返事が欲しいものです。
【映画情報】
企画・製作・監督:小熊英二
撮影・編集:石崎俊一
出演:菅直人/亀屋幸子/ヤシンタ・ヒン/吉田理沙/服部至道/ミサオ・レッドウルフ/木下・茅/小田マサノリ
製作年:2015年
上映時間:109分
製作国:日本
公式ホームページ:http://www.uplink.co.jp/kanteimae/
予告編:https://www.youtube.com/watch?v=EFjsarBPAZ8&feature=youtu.be
【上映貸出情報】
いま上映中で配給も担当しているアップリンクでは、トークシェア(上映後の話し合い)付きという条件で通常より割安価格で上映用のDVDを貸し出して上映会を拡げようとするこころみをしています。おかげさまで私たちも2015年10月25日東京体育館第❹会議室で「第21回憲法を考える映画の会」として上映出来ることになりました。
監督の小熊さんもパンフレットのインタビューの中で「観た後、映画館で隣の人と話し合ってほしいですね。(中略)映画をきっかけにして、まったく知らない隣の席の人と、ふだんできない話をしてみるのも面白いでしょう」と話しています。
こうした映画を使った話し合いの機会を広げるこころみは、私たち「憲法を考える映画の会」がめざしてきたものでもあります。是非こうした民主主義の基本になる話し合う機会を、映画を利用して根付かして、拡げていきたいと思います。
アップリンク「自主上映の案内」http://www.uplink.co.jp/kanteimae/talkshare.php
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