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憲法情報Now<シネマ・DE・憲法>(254) 映画『おいしいコーヒーの真実』

公開日: : シネマDE憲法, 作品紹介

憲法情報Now<シネマ・DE・憲法>(254)
映画『おいしいコーヒーの真実』
(初出2008年8月4日掲載・蓼沼紘明 記)』

254おいしいコーヒーの真実

一日の活力を与えてくれる朝のおいしいコーヒー、深い香りが新しい着想を運んできてくれる午後のコーヒー。コーヒーは、世界で最も愛飲されている日常的な飲み物です。映画でも、コーヒーを楽しむ幸せそうなスターバックスの店のお客さんや店員のようすがふんだんに現れます。

さて、皆さんが支払ったコーヒー代はどこへ行くのでしょう?
これは、“モカ”で知られる、コーヒーの原産地・エチオピアの栽培農家が主人公のドキュメンタリー映画です。この国は東アフリカの最貧国の一つです。その原因の一つが、主要輸出品であるコーヒーの価格の安さです。

農家の販売価格は極度に低く抑えられ、例えば私たちが店で飲む330円のコーヒー1杯のうち、栽培農家の取り分は1~3%の3円~9円。農家は自分たちで販売価格を決定できません。価格(アラビカ種)はニューヨークの商品取引所で決められ、世界のコーヒー市場はネスレ、P&Gなど4つの多国籍企業が独占し、先物市場を支配しています。これらを含む流通業者、焙煎業者、小売業者の取り分が99~97%を占めています。

栽培農家はこれでは生活できません。そのため、学校も建てられない地域もあります。学校があっても黒板1枚なく、教師の給料も支払えません。そもそも食糧自体が不足し、飢餓に襲われ、毎年700万人が緊急食糧援助を受けています。

世界中の輸出農産物生産国家がそうであるように、エチオピアもかつてはコーヒーの他にも自分たちの食料も生産し自給していました。しかし100年余り前の殖民地時代から、次第に農業の構造が輸出商品作物であるコーヒーの栽培と畜産業に特化し、主食の栽培量がまったく不足して、今は輸入品のうち最大の品目は食料です。しかし農民たちには、その輸入食糧品を満足に買うおカネがありあません。多国籍企業・世界貿易機構(WTO)・国際通貨基金(IMF)・世界銀行が、他の途上国に対してと同様、エチオピア経済にも強い影響力を行使し、経済の自立を妨げています。

エチオピアが求めているのは、“公平かつ公正な取引”、フェアトレードです。農業生産など労働に見合う対価で販売し経済を自立させ、援助から脱却することです。アフリカ全体に目を向ければ、アフリカの輸出のシェアが1%増えれば、アフリカ全体が現在受け取っている援助額の5倍に相当する金額を取得できます。
映画には自立への曙光を感じさせる新しい運動が紹介されています。コーヒーを扱う複数の農協が力を合わせて流通業者を介さずに販売ルートを作り、ニューヨークから降りてくる価格に対抗する協同組合の動きです。

公平かつ公正な取引の実現は、コーヒーに限りません。バナナ、チョコレートなどの食品や衣料品なども同じです。

今日も飲むコーヒー。手を休めて、たまにはコーヒー園で働く農民の痩せ衰えた姿に想いをはせましょう。筆者は以前、インドネシアのコーヒー園の労働者は1年に5杯程度のコーヒーしか飲めないという新聞記事を見たことがあります。もちろん、彼らもコーヒーは大好きです。たとえ1杯分でも換金して主食を買いたいのです。経済が自立していた時代は無制限に飲めていました。

【映画情報】
製作:2006年 イギリス・アメリカ
監督:マーク・フランシス/ニック・フランシス
時間:78分
出演:タデッセ・メスケラ

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