憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (227) 映画『真昼の暗黒』
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (227)
映画『真昼の暗黒』
(初出2008年3月10日掲載・H.O.さん 記)
こんにち、多くの国民は、自分が逮捕されたり、裁判にかけられることを想像することは、ほとんどないのではないでしょうか。また国民は、逮捕された人をすぐに悪人だと決めつけてしまいがちです。来年には裁判員制度が始まり、一般市民も刑事裁判に参加することになりますが、関わりたくないと思っている人が多いのではないでしょうか。
しかし、現実には、いまなお多くの冤罪事件が発生しています。映画『それでもボクはやってない』は、誰もが刑事事件に巻き込まれ、逮捕・起訴され、有罪にされてしまう危険性をリアルに描きました。いま刑事事件や刑事手続きについて学び考えてみることは、自分が冤罪に巻き込まれることを防ぐとともに、自分以外の人たちが冤罪の被害にあうことを防ぐためにも必要なことです。
映画『真昼の暗黒』は八海事件という実際の事件を素材につくられた映画です。警察の残虐な取調べによってウソの自白をさせられ、裁判で有罪判決を受けることになった経過が映し出されています。実際の八海事件の裁判では、共犯とされた被告人は最終的に無罪となりましたが、映画は高裁で有罪の判決を受けるまでを映しています。
“無実なのに自白するなんてありえない”“残虐な取調べは昔の話でいまはそんなことない”といった感覚が多くの人にあります。しかし、こんにちでも警察官が使命感のあまり自白を強要することは多々あります。鹿児島の志布志事件もそのことを教えています。ぜひ冤罪事件について多くの人たちと学び考えていきたいと思います。
日本国憲法の基本的な価値は「個人の尊重」です。どんな人も個人として尊重され、被疑者・被告人にも刑事手続き上で定められた権利が保障されなければなりません。「十人の真犯人を逃すとも、 一人の無辜を罰するなかれ」という格言は憲法の「個人の尊重」の考え方のポイントを理解するものといえます。
『真昼の暗黒』
(1956年、現代ぷろだしょん)
本編 122分
監督:今井正
出演:松山照夫、草薙幸二郎、矢野宣、牧田正嗣、小林寛、左幸子、内藤武敏
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