憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (226) 映画『君のためなら千回でも』
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (226)
映画『君のためなら千回でも』
(初出2008年3月3日掲載・蓼沼紘明 記)
アフガニスタン人の無名作家が書きベストセラーになった半自伝的小説の映画化です。ある雑誌によれば、今、人気ナンバーワンの映画です。1970年代の「中央アジアの真珠」と呼ばれていた頃のカブールの美しい風景をバックにした多感な少年時代の友情、その後のソ連軍の侵攻とタリバンの台頭を経ても変わらぬ信頼と愛が痛切に胸に迫ります。動乱のアフガニスタンで生きる人々の様子を時系列で理解するためにも貴重な映画です。
裕福な実業家の家庭に生まれた少年・アミールは、誕生と同時に母親を亡くしました。父親には恨まれているのではないかと不安なアミールの心の支えとなったのは、一つ年下の召使の子供・ハッサンでした。2人は同じ乳母の下で育ち、兄弟のように仲良くいつも一緒に行動していました。カブールがまだ平和な時代、アミールが12歳のとき、冬の最大のイベントである凧揚げ合戦のトーナメントで優勝。落ちる凧を追うハッサンが悪童たちから乱暴を受けているのを気が弱いアミールは助けられません。さらに、故ない罪まで着せてしまいます。
やがてソ連の侵攻。アミールは父とともにアメリカに亡命します。一生抜くことができないだろう棘を心に刺したまま。
それから20年、時は流れ、結婚してささやかな幸せな生活を送っていたアミールの元に一本の電話がかかってきます。幼い頃から親しかった恩人からでした。「君は今すぐ故郷に帰って来るべきだ。やり直す道がある」。
アミールはある決断を胸に、タリバン政権が支配する故郷に帰ります。待っていたのはあまりにも過酷な運命でした。廃墟の中、身の危険を感じてもハッサンの影を求め、その愛に報いたいという必死さが画面を覆います。タイトルは、「信頼と償い」という、重いテーマを表したものです。
この映画はアフガニスタンでは上映禁止になっています。複雑な民族感情が背景にあるとのことです。アフガニスタンに一刻も早く平和が戻り、諸民族が肩を並べて映画を鑑賞できる日が来ることを願わずにはいられません。
【映画情報】
製作:2007年 アメリカ
監督:マーク・フォースター
時間:122分
原作:カーレド・ホッセイニ『カイト・ランナー』
出演:ハリド・アブダラ/ホマユン・エルシャディ/アトッサ・レオーニ/アーマド・カーン・マーミジャダ
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