憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (167) 『孔雀 我が家の風景』
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (167)
『孔雀 我が家の風景』
(初出2007年3月12日掲載・H.Tさん)

10年間続いた文化大革命が終わった1977年の中国。小さな田舎町を舞台に、自由と解放を求めた時代の庶民の哀歓が、郷愁と慈愛の情を込めて織り込まれた家族5人の物語です。
主人公ともいえる姉は、感受性が強く自由に強い憧れを持ち、職場を転々とします。ある日、落下傘部隊の将校に恋心を抱き…。知的障害があり気のいい兄はいじめに遭います。高校生である弟は、学校では兄を恥じ、兄に愛情を注ぎがちな両親に不満を持ち、不登校の末町を飛び出していきます。そして、それぞれ家族や町の中での生活と格闘しながら成長していきます。家族の芯にいるのは両親です。子供たちが懐く閉塞感を受け止め、それぞれの個性的な行動を認めつつも毅然としています。やがて、3人は結婚し、家族ができ、楽しいことも不運もいろいろ経験します。
映画では皆で小さな食卓を囲む団欒の風景が繰り返し回顧されます。家族の絆の大切さを実感させる場面です。
ラストで、家を出て行った姉と弟が家族を抱えて戻り、皆で動物園の孔雀の前で足を止めます。しかし孔雀は、彼らが通り過ぎた後になって美しい羽をいっぱいに広げます。観る人によって、解釈はさまざまでしょう。監督自身は、「開放的な結末であって欲しいこと、そして、人々の心の中にある情熱を呼び起こすことができればいいと思った」とのことです。監督は、青春時代を厳しい制約があった文化大革命の中で過ごしました。ひたむきに生きようとする家族の必死な姿に胸に迫るものがあるのは、この経験によるものが感じられます。
日本で中国のことが話題になるとき、ともすれば国対国、日本人対中国人という図式で見たり、競争・対抗を意識しがちです。しかし、同じようにごく普通の悩みも希望も持っている人間です。その共感を大切にして未来を共有していけたらいい、と思える映画です。
【映画情報】
製作:2006年 中国
監督:クー・チャンウェイ
時間:136分
出演:チャン・チンチュー /ファン・リー / ルゥ・ユウライ
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