憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (198) 映画『基地はいらない、どこにも』
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (198)
映画『基地はいらない、どこにも』
(初出2007年9月17日掲載・H.T.さん記)
現在、アフガニスタンやイラクの戦争に対する自衛隊の参加が大きな政治問題になっています。本作品は、この二つの戦争への参加の背後にある大局的な変化を理解し、さらには米軍や自衛隊が世界で何をしようとしているのかを端的につかむうえで、極めて役立つでしょう。
アメリカは今、世界的規模で米軍再編を進めています。その本質は、米軍が文字どおり「地球軍」となるための戦略の大転換に伴う世界的な戦力の再編成です。これは、単なる米軍の新展開だけが目的ではなく、アメリカは大きな目的として、「同盟国の役割拡大」を挙げています。日本に対しては、憲法を変え、アメリカが世界で巻き起こす戦争に自衛隊を参加させることが米軍再編の狙いです。
米軍再編は、PRされているような沖縄などにある基地の負担の軽減が目的ではありません。日米間の合意文書では在日米軍の強化・再編とともに、自衛隊に新しい役割を付与しています。米軍再編は、米軍と自衛隊を機能的に一体化させ、運命共同体化する日米軍事同盟の改変でもあります。2006年12月、防衛庁を防衛省に格上げする昇格法とともに採決された自衛隊の海外活動を本来任務とする自衛隊法の改訂は、これに呼応しています。
この作品は、米軍再編についての日米両政府の狙いや軍産複合体の実態をあきらかにするとともに、日本全国の基地周辺で暮らす人々の生の声や米軍再編に対する抵抗を描いています。
神奈川県のアメリカの基地キャンプ座間には、米本土の陸軍第一軍団から新編成司令部が移駐してきます。そこに陸上自衛隊の中央即応司令部が移転し併置され、日米軍が結合されます。東京・横田基地には、在日米空軍司令部と航空自衛隊の総司令部が併置され、統合が図られます。海をにらむ横須賀を含めて日米の軍司令部機能が全体として「融合」されます。また、千歳、三沢、百里、小松、新田原など、全国各地の自衛隊の基地が米軍の訓練場として使用されることになります。映画ではこれらの動きとこれに反対する住民、自治体の運動が活写されています。
全国の米軍基地の75%が集中する沖縄に関しては、1995年から2006年までの名護市辺野古での新基地建設の阻止行動等が生き生きと映し出されています。沖縄をこれ以上「戦争加害者の島」にしないために、辺野古にたくさんの仲間とともに連日座り込んで文字通り身体を張って反対し続けて来られた「命を守る会」代表の金城祐治さんは語っておられます。「貧乏人には貧乏人の闘い方がある」。金城さんは、映画が完成した後の今年5月19日、72歳でなくなりました。金城さん一緒に、非暴力に徹した抵抗運動を推進して来られた平良夏芽牧師の切々たる涙の訴えも胸に迫ります。
以上は、映画の一部の紹介に過ぎません。私たちの多くは、基地とは直接関係なく暮らしています。しかし、基地機能の変化は確実にそうした私たちの明日の生活に影響してきます。日米政府や軍需産業の札束攻勢に対して、平和、静かな生活環境、豊かな自然、健全な地域経済などを守るために、全国の自治体と住民が立ち上がっている様子を是非ご覧になってください。
【参考】
書籍『米軍再編』
今週の一言『米軍再編と憲法』
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