憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (102) 『スパイ・ゾルゲ』
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (102)
『スパイ・ゾルゲ』
(初出2006年5月15日掲載・H.O.さん記)

ゾルゲは第一次世界大戦にドイツ軍の志願兵として従軍したが、その後共産主義者となった。
そして、ロシアのソビエト政権のスパイとなり、アジア情勢などの最高機密情報を収集し、
ソビエト政権に伝える仕事にあたった。
やがてゾルゲは日本に派遣され、ドイツと日本の機密情報を収集することになった。
そのためにドイツのナチス党に潜入し、ドイツの日本大使館の情報を得ていった。
また、日本人ジャーナリスト・尾崎秀実からも日本政府の機密情報を得て、ソビエト政府に伝えていった。
この映画は、こうした史実を描いたものです。
20世紀初頭、欧米列強のアジアなどへの進出が活発になっていきました。
日本もまた大陸への進出をすすめていました。
そのような時期に、ロシアに社会主義・ソビエト政権が樹立されました。
ロシアのソビエト政権は、ドイツや日本の動向を注目・警戒することになります。
ドイツも日本もロシアの両隣りに位置し、それぞれが軍事力による対外侵略に躍起になっていたからです。
ロシアのソビエト政権が誕生し、国際共産主義の考え方が広がっていく中で、ゾルゲもそれに賛同し、スパイになったのでした。
日本人ジャーナリスト・尾崎秀実もまた、日本の中国などへの侵略を憂いており、ゾルゲの活動に協力したのでした。
この映画は、なぜゾルゲや尾崎秀実がそのような活動をしたのか、
そして、その背景にはどのような国際情勢があったのかを学び考えることのできる映画だと思います。
ロシアのソビエト政権が崩壊し、今日では社会主義が語られることはあまりなくなってきました。
しかし、社会主義の考え方が広がった歴史的な背景などを学ぶことは大事なことだと思います。
日本国憲法にも制定当時の国際的な情勢や考え方が影響しています。
ロシアにソビエト政権ができ、平等や社会権の考え方が国際的に広がり、
やがて資本主義国の憲法にも盛り込まれるようになっていったのです。
この映画は、当時日本が中国などへの侵略に突き進んでいった状況などもよくわかるものとなっています。
歴史を学び考える映画として多くの方に観てもらいたいと思います。
【映画情報】
2003年公開。
182分。
監督・原作・脚本:篠田正浩
出演:イアン・グレン、本木雅弘、その他
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