憲法情報Now<シネマ・DE・憲法>(296) 映画『ワルキューレ』
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法>(296)
映画『ワルキューレ』
(初出2009年4月13日掲載・H.O.さん 記)

第一次大戦後、ヒトラーはドイツの政権を握り、軍の最高位に就きました。ある軍の幹部が戦禍の拡大に異を唱え、ヒトラーの暗殺を試みました。その様子を描いた映画です。
戦後のドイツはヒトラーの支配を否定することから出発しました。東西冷戦の最前線におかれたことから、西ドイツでは戦後まもなく軍隊が創設され、NATO軍にも参加するようになったことは検証されるべきですが、軍の活動に様々な制約が課せられたことは注目されます。軍のNATO域外への派遣については議会や裁判所で厳格な議論が行われます。また、国民には良心的兵役拒否が認められ、軍人も人権や平和の考え方に反する命令を拒否できるのです。
軍の活動に対するドイツ社会の制約は日本とは対照的です。日本では憲法に反する自衛隊が創設され、海外派遣が拡大してきました。戦前の日本の侵略を否定する発言をする自衛隊幹部も現れます。日本がドイツから学ぶ意義はいまなお大きいと思われます。
この映画を観て、ドイツには軍幹部にもヒトラーに反旗を翻す動きがあったことに驚かされます。日本にも戦時中に反戦運動がありましたが、現役軍人の動きはほとんど聞きません。最近ドイツでイラク戦争に反対する軍幹部が現れ、その主張を裁判所が認めましたが、ドイツにはこのようなことが起こる社会的歴史的な背景があるのでしょうか。
【映画情報】
2008年製作。
上映時間は120分。
監督はブライアン・シンガー。出演は、トム・クルーズ、ビル・ナイ、ケネス・ブラナー、トム・ウィルキンソンなど。
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