法情報Now<シネマ・DE・憲法> (216) 映画『君の涙 ドナウに流れ ハンガリー1956 』
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (216)
映画『君の涙 ドナウに流れ ハンガリー1956 』
(初出2007年12月17日掲載・H.T.さん記)
今、世界を席巻する勢いを見せている新自由主義は、影の部分も目に見える形で姿を現し、その理論も様々な角度から議論されています。これからの資本主義社会はどうなっていくのか―その展望が見えにくくなっています。
では、20世紀の対抗原理だった社会主義は、人間社会の共生のためのシステムとして、21世紀でも新しい形で機能し発展することが可能なのか、中南米の最近の動向ともからんで論争が続いています。ソ連型の20世紀の社会主義は、人権・民主主義・平和・主権の尊重という憲法の原理からみても大きな問題を抱え、崩壊しました。これからの世界を責任を持って展望するためには、「ソ連型社会主義」の問題点を正視することが不可欠でしょう。今回紹介する映画は、このテーマに関わります。
1956年、ハンガリーでは、労働環境の改善や民主化を求める声が高まっていました。ナチスの占領から解放され、人々は人民共和国に希望を託しましたが、現実は厳しいものがありました。10月には、首都ブタペストで大規模なデモも行われ、ハンガリーは混乱状態になりました。そこに、ソ連による軍事介入が行われます。
映画では、改革を求めて学生運動に身を投じる女子学生ヴィキと、メルボルン・オリンピック出場を目前にした水球チームの選手カルチが出会います。ヴィキを愛するようになったカルチはオリンピックよりも彼女の傍にいるべきか迷います。
火を噴くおびただしい戦車砲。吹き飛ぶバリケード。ソ連軍との戦いが全土に拡大するニュースを聞きながら、ソ連チームと試合することになったカルチらは奮起します。語り草になった“メルボルンの流血戦”です。ヴィキとカルチの愛と不屈のたたかいを描いたこの作品は、どのような体制の国であれ、外国による武力干渉によってはその国の人々の自発的な要求や選択を抑えることはできないし、すべきでないことを教えています。
【映画情報】
制作:2006年 ハンガリー
監督:クリスティナ・ゴダ
原題:SZABADSAG, SZERELEM
時間:120分
主な出演者:イヴァン・フェニェー/カタ・ドボー/シャーンドル・チャーニ
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