憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (189) 映画『エマニュエルの贈りもの』
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (189)
映画『エマニュエルの贈りもの』
(初出2007年7月16日掲載・H.T.さん記)
障害者がどのように扱われるかは、その社会がどの程度個人を尊重(憲法13条)し、成熟しているかを示す大きなバロメーターであると言われています。
西アフリカのガーナでは、現在もポリオワクチンの不足や医療施設の不備などのため障害者の数は10人に1人、200万人に及ぶといわれています。多くは障害をもって生まれてきた人たちで、右足に障害をもつエマニュエルもその一人です。ガーナでは、障害を持って生まれた子供は呪われた者とみなされ、その多くが人目をしのんで暮らすか、物乞いの道しかありません。エマニュエルも父親に見捨てられ、村社会で除け者にされます。
しかし、エマニュエルは、障害者に対する偏見をなくし、人間の平等を取り戻すために、敢然と行動します。この映画は、エマニュエルから全世界の人々に贈られるドキュメンタリー作品です。何がエマニュエルを動かしたか。それはまず、他の人と変わらない尊厳ある人間として育てた母親の深い愛です。そして、彼の勇気と、周囲の人々の支援です。
支援団体から自転車を提供されたエマニュエルは、片足だけでガーナの横断に挑戦します。障害者だってできることを訴えるために。
横断に成功した彼には支援の輪が広がり、義足を提供され、トライアスロンのレースに参加し、名が知られてゆき、米国人アスリート、ジム・マクラーレンと運命的な出会いを果たします。交通事故で左足を失いながらも世界一早い片足の長距離ランナーとなっていたジムは、2度目の不運な事故で半身不随の身となっていました。 そこから2人の新しい試練が始まります。
アスリートとしてガーナの英雄となった今も、エマニュエルはガーナに暮らし、路上から物乞いをする障害者がいなくなる日を目指して、揺るぎない情熱を注ぎ続けています。
“自立”は、すべての人の課題ですが、とりわけ障害者に課せられたキーワードになっています。エマニュエルは、健常者にもできない“自立”への気概溢れる挑戦という贈り物を届けてくれます。
しかし、今、障害者にとって過酷な“自立”が強制されていることも見逃すことはできません。日本でも昨年、「障害者自立支援法」が施行されました。その内容は、施設利用についての障害者の自己負担金、公的サービスの削減などを内容とし、実は“自立”を阻害しているとの強い批判が出ています。障害者を個人として尊重するためには、周囲の人々や公的な支援が不可欠です。
エマニュエルも、車椅子の不足など、改善すべき問題点を率直に訴えています。北欧諸国などの障害者は厚い社会的配慮の中で、健常者と一緒の生活に溶け込んでいると伝えられています。ガーナや日本も含めて、世界中の障害者が「かけがえのない個人」として尊重されるためには何をすればよいか、エマニュエルの“声”をお聞きになってください。
【関連情報】~映画「筆子・その愛ー天使のピアノ」の願い
https://www.gendaipro.jp/fudeko/
【映画情報】
製作:2005年 アメリカ
時間:80分
原題:EMMANUEL’S GIFT
監督:リサ・ラックス /ナンシー・スターン
出演もしくは声の出演:エマニュエル・オフォス・エボワ/ジム・マクラーレン/ロビン・ウィリアムズ
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