憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (236) 映画『さよなら。いつかわかること』
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (236)
映画『さよなら。いつかわかること』
(初出2008年5月12日掲載・蓼沼紘明 記)

イラク戦争の悲劇を描くアメリカ映画が続きます。この映画は、戦場のシーンは全く用いないで戦争がもたらす家族の悲劇を綴っています。
かつて自らも軍人でしたが、視力を偽ったのがわかり除隊処分になった主人公スタンレー。今は12歳と8歳の2人の娘とともにシカゴで暮らし、ホームセンターで働いています。ある日、自宅を訪ねてきた軍人たちから妻グレイスの訃報を聞かされます。グレイスは、アメリカ陸軍の軍曹としてイラクで戦っていたのでした。激しいショックを受け、途方に暮れるスタンレー。今なおイラク戦争を正しいと思いながらも、妻の死を受け入れることができず自制心を失います。
今、アメリカでは兵士が不足していて、女性兵士も少なくありません。妻の戦死も一つの日常的な風景なのでしょう。でもナイーブで優しいスタンレーは、娘たちに母親の死を告げられず、2人を車に乗せてフロリダのテーマパークに向かいます。ぎこちない父と娘、とりわけ多感な長女。繊細で心の揺れ動く登場人物たちの姿を抑制した表現で追うカメラはリアルです。
旅を続ける父娘の距離は縮まるのでしょうか。互いの心は開くのでしょうか。戦争の傷を背負う家族の悲劇がせつせつと伝わってきます。言葉で訴える反戦ではなく、事実の重みを実感させる映画です。クリント・イーストウッドが初めて、自分の監督する作品以外で提供した美しい音楽が流れています。
【映画情報】
製作:2007年 アメリカ
監督・脚本:ジェームズ・C・ストラウス
音楽:クリント・イーストウッド
原題:Grace is Gone
時間:85分
出演:ジョン・キューザック/グレイシー・ベドナルジク/ アレッサンドロ・ニヴォラ
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