憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (176)映画「陪審員」
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (176)
映画『陪審員』
(初出2007年4月16日掲載・H.O.さん記)
アメリカの法廷の陪審員に選ばれた女性彫刻家に男が接近した。その男はマフィアに雇われた殺し屋で、女性彫刻家に対して陪審法廷で被告人の無罪を主張するよう脅した・・・。
日本でも2009年に裁判員制度が発足し、刑事重大事件の審理に一般市民が参加することになっています。それは人権よりも治安重視の風潮に拍車をかけ、それに国民を動員するもの、との批判もありますが、司法への市民参加として、また職業裁判官による今日の刑事裁判の現状を改革するものとして、実効あるものにしていきたいものです。そのように考えた時、裁判員がこの映画の中の陪審員のように脅迫されることを防ぐことも課題となるでしょう。
憲法には刑事司法手続きの原則が明記されています。それは、「疑わしきは被告人の利益に」「推定無罪」「一人の無辜も生み出さない」ということですが、その意味を学び広げる課題はいよいよ重要になっています。国民が司法に参加する意味とともに、そんなことも考えながら、観ていただきたい映画です。
そもそも裁判や司法にはどのような役割があるのでしょうか。裁判官は憲法と法律と自分の良心にのみに拘束されます(憲法76条)。国民の多数がどのように思おうが、関係ありません。逮捕・起訴された人を多くの人々が重罪にしてしまえと思ったとしても、適正な手続きによって被告人は裁かれるのです。「民主主義」の重要性が叫ばれますが、決して多数の意見によっても人々の自由や人権が侵害されてはいけないという仕組みとして、権力分立という制度が構築されてきました。
映画情報:
1996年、アメリカで製作。
118分。
監督:ブライアン・ギブソン
出演:デミ・ムーア、アレック・ボールドウィン、ジョセフ・ゴードン=レビット、ほか
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