*

憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (21) 『モーターサイクル・ダイアリー』

公開日: : 最終更新日:2025/10/06 シネマDE憲法, 作品紹介

憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (21)
『ヤカオランの春~あるアフガン難民の生涯』
(初出2004年10月3日掲載 Y.M.記)

モーターサイクル・ダイアリー

伝説の革命家、チェ・ゲバラの青春の日々である。
「チェ」とは親愛の情を込めたゲバラの愛称。キューバの子供たちは今でも口を揃えて「チェのようになりたい」と歌う。
チェの遺志は人々の心に永遠に生き続けている。
キューバ革命時、十数人のゲリラから始まった革命軍は、二万人にも及ぶ政府軍と闘い、時のバチスタ政権を倒し、貧困に苦しむ人々を抑圧から解放した。
その後の彼は名誉や地位をあっさりと捨て、理想を求め、国境を越えた新たな革命へと旅立つ。
彼はコンゴ、ボリビアで闘い、ついに銃弾に倒れ夢に散る。
「自由を求める人々が僕のささやかな努力を望む限り闘い続ける。永遠の勝利まで。革命か死か。」ゲバラがカストロに宛てた別れの手紙。
「チェの思想が実現していたら、世界は違ったものになっていただろう。戦士は死ぬ。だが、思想は死なない。」カストロはそう返した。

23歳の裕福な医学生エルネスト(ゲバラ)は親友アルベルトとともにおんぼろバイクに乗って南米大陸探検の未知への旅に出る。
それは、好奇心のままに10000キロを走破する無鉄砲な計画だった。
アンデス山脈を抜け、チリの海岸線に沿って進み、アカタマ砂漠を通ってペルーのアマゾン上流へと。

旅の途中には、彼らにとって未知の姿のラテン・アメリカとの出会いが待っていた。
政治的信念を持ったがために土地を奪われた夫婦との出会い。
インカ帝国の栄光と現代のまとまりのない都市風景とのコントラスト。
隔離医療施設に閉じ込められた人々とのふれあい。
ついにベネズエラに着いた時、ふたりが旅した距離はキロ単位でははかれないまでになっていた。
ラテン・アメリカ深部への旅は彼らの生涯の最初の揺らぎ、生涯変わらぬ情熱と原動力となる。
運命の軌跡、自我の確立、一個人がアイデンティティとこの世界における居場所を見つける旅、それはまた、私たちにラテン・アメリカのアイデンティティの軌跡をも見せてくれる。

チェ・ゲバラの革命者としての人格の基となった青春時代の旅での日々、その道中を描いた映画、それがこの「モーターサイクル・ダイアリーズ」である。
チェ・ゲバラが尊敬していた革命家はあの坂本竜馬。
私たち日本人のアイデンティティとは何であるのかということも想起させられる。

「あの頃世界で一番かっこいいのがゲバラだった」ジョン・レノンはこんな言葉を残したという。

【原題】THE MOTORCYCLE DIARIES
【制作】2004年 イギリス・アメリカ合作
【制作総指揮】ロバート・レッドフォード
【監督】ウォルター・サレス
【原作】エルネスト・チェ・ゲバラ「モーターサイクル南米旅行日記」
【出演】ガエル・ガルシア・ベルナル ロドリゴ・デ・ラ・セルナ ミア・マエストロ

モーターサイクル・ダイアリー‘米版’)

ad

Message

メールアドレスが公開されることはありません。

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>

関連記事

第85回「レーン宮沢事件」案内チラシ案(2025年10月26日入稿原稿)

第85回憲法を考える映画の会『レーン・宮沢事件 もうひとつの12月8日』

第84回憲法を考える映画の会 『レーン・宮沢事件 もうひとつの12月8日』上映会のご案内

記事を読む

41スミス都へ行く

憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (41) 『スミス都へ行く』

憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (41) 『スミス都へ行く』 (初出2005年2月7日掲載

記事を読む

SKMBT_C224e14111412580_0001-thumbnail2

憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (44) 『ドキュメンタリーフィルムで見直す戦後60年~平和・人権・労働運動~』

憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (44) 『ドキュメンタリーフィルムで見直す戦後60年~平和

記事を読む

Little Birds -イラク戦火の家族たち-

憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (47) 『Little Birds -イラク戦火の家族たち-』

憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (47) 『Little Birds -イラク戦火の家族たち

記事を読む

第59回憲法映画祭2021オモテ

憲法映画祭2021

憲法映画祭2021   憲法映画祭2021 と き:4月17日(土)10:30〜18:00

記事を読む

遠い夜明け

憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (16) 長編記録映画『遠い夜明け』

憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (16) 『遠い夜明け』 (初出2004年9月2日掲載 I

記事を読む

kana

カナリア諸島の日本国憲法第9条

■ ─スペイン・テルデ市 サンティアゴ市長インタビュー─ 映画「シロタ家の20世紀」の

記事を読む

ひまわり2

憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (11) 『ひまわり』

憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (10) 『ひまわり』 2004年8月16日 H.T 記

記事を読む

mangekyo

憲法万華鏡

いま、「憲法」をテーマに映像で何が表現できるのだろうか? 様々な人々が様々な方法で「憲法」をテ

記事を読む

ikiru

“私”を生きる

職員会議では職員の意向を確認するための挙手・採決を行うことを禁止され、 卒業式や入学式で国歌

記事を読む

ad

ad


第85回「レーン宮沢事件」案内チラシ案(2025年10月26日入稿原稿)
第85回憲法を考える映画の会『レーン・宮沢事件 もうひとつの12月8日』

第84回憲法を考える映画の会 『レーン・宮沢事件 もうひとつの12月

61東京裁判
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (61) 「戦後60年にあたっての各地で映画上映会企画」

憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (61) 戦後60年にあたって

60宇宙戦争
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (60) 『宇宙戦争』

憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (60) 『宇宙戦争』 (初

火垂るの墓
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (59) 『火垂るの墓』

憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (59) 『火垂るの墓』 (

flyer_1
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (58) 『ひめゆりの塔』

憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (58) 『ひめゆりの塔』

記録映画「時代(とき)を撃て・多喜二」
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (57) 『時代(とき)を撃て・多喜二』

憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (57) 『記録映画「時代(と

→もっと見る

PAGE TOP ↑