憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (153) 映画 『赤い鯨と白い蛇』
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (153)
『赤い鯨と白い蛇』
(初出2007年1月15日掲載・H.Tさん記)
房総の古い民家を舞台に、世代をまたがる女性が、女から女に受け継がれていく生命の連鎖を描いています。私たちの生命の連鎖は、平和の問題と深いところでつながっていることを静かに語りかけてくれます。世代間のセリフのやりとりにはユーモアがあって、楽しめる作品です。
老境に入った保江(香川京子)は、孫娘の明美(宮地真緒)を連れて千葉・千倉に住む息子の元に向かいますが、ふと思いだし途中下車して、戦時中疎開していた茅葺の古い家を訪れます。家の持ち主、光子(浅田美代子)は家を取り壊し引っ越すことにしていました。保江は希望してその家に泊まりますが、その家に住んでいたと言う美土里(樹木希林)が訪ねてきます。光子の娘里香を合わせ5人の女たちが一つ屋根の下に集まり、明美の妊娠、光子の失踪した夫、美土里のトラブルなど、それぞれが抱える問題が明らかになっていきます‥‥。
認知症気味の保江は、突然「家に数百年も住む白い蛇と話をした」と言い出します。“白い蛇”は家を守り平和を表す伝説の存在です。やがて、保江は戦時中に出会った海軍兵士のことを思い出します。タイトルの“赤い鯨”は戦争中、夕陽に消えていく潜水艦の姿。
当時は“潜水艦”と呼ぶことは許されていませんでした。館山には海軍航空隊基地があり、終戦間際には特殊潜航艇の基地ともなって、多くの若者たちが出撃し二度と戻ってきませんでした。
本作品は、テレビドラマの草創期からいくつもの心に染み入る作品を作ってきたせんぼんよしこ監督が、「戦争の記憶を引継ぐ」思いを込めて、78歳にして初めて映画に挑戦したものです。戦時中、千葉・館山に疎開した経験も基にして、史実を詳細に調査して仕上げたとのことです。キーフレーズは「自分に正直に」。
【映画情報】
制作:2005年 日本
監督:せんぼんよしこ
時間:102分
主な出演者:香川京子/浅田美代子/樹木希林/宮地真緒/坂野真理
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