憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (31) 『PHILADELPHIA(フィラデルフィア)』
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (31)
『PHILADELPHIA(フィラデルフィア)』
(初出2004年11月22日掲載 R.S.さん記)
トム・ハンクス演じる弁護士ベケットは、同性愛者でエイズを患っている。
そのことを知った勤務先である一流の法律事務所は、いったんは昇進させた彼を解雇する。
不当解雇で事務所を訴える決意をしたベケットに、世間の風は冷たい。
依頼した弁護士には次々に断られるが、あきらめずに闘い抜こうとするベケットを見て、同性愛やエイズに理屈ぬきの嫌悪感を感じていたデンゼル・ワシントン演じる黒人弁護士ミラーが、弁護を引き受けることに。
同性愛やエイズの問題は、アメリカではよく知られた社会問題であり、それらに理解を示すことがよしとされる風潮のなかで、現実的には嫌悪感や差別的感情も根強く残る。
最高裁は、「エイズの人たちは生命としての死の前に社会的に死ぬ」ということを認めているが、映画中にも出てくるこのセリフの持つ意味は重い。
偏見に基づく不当解雇だと認めるまでの裁判でのやりとりをはじめ、非常にデリケートな問題を淡々と描いた作品である。
ちなみに、「フィラデルフィア」とは、兄弟愛や友愛のこと。
死にゆくエイズ患者を迫真の演技で見せるトム・ハンクスや、機敏な心の動きを見事に表現したデンゼル・ワシントンなど役者がすばらしく、ひきこまれる。
【原題】PHILADELPHIA 【制作】1993年 アメリカ 【時間】125分 【公開】1994年4月初公開 【監督】ジョナサン・デミ Jonathan Demme 【出演】トム・ハンクス Tom Hanks デンゼル・ワシントン Denzel Washington |
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