憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (28) 『桃太郎 海の神兵』 (初出2004年11月15日掲載 H.T.さん記)
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (28)
アニメーション『桃太郎 海の神兵』
(初出2004年11月15日掲載 H.T.さん記)
1945年に制作された日本初の長編アニメーションで、「傑作」と言われている。
当時高校生だった手塚治虫がこの作品に感動してアニメ作家を志したきっかけの一つとなったことでも有名。
ある暖かい南の平和な王国に白人の鬼海賊(全部動物)が現れ、王国を武力で植民地化して民を苦しめていた。
そこに、東方の国より軍刀を持って96式輸送機に乗った桃太郎の救世主が現れ植民地支配を解放してやるという話。
桃太郎だけが唯一人間。
叙情性があり、つい感動してしまうのは人情。
しかし、制作する側の意図は戦意高揚である。
海軍省がその存在の誇示も目的として作成させた戦時国策映画。
白人は欧米諸国を、桃太郎は日本海軍。
オランダ領インドネシアで行われた海軍空挺部隊の落下傘攻撃を題材としている。
今日ではこのアニメは距離感を持って見られる方が多いだろう。
しかし、この距離感が次第にあいまいになっていないだろうか。
また、これに近いアニメ、映画も周囲にけっこうあるのではないか。
最近(2004年)、「九条の会」に賛同する「映画人九条の会」が結成された。
2004年11月24日(水)の午後6時45分から文京区民センターで「映画人九条の会結成集会」が開催され、このアニメが上映される。
憲法9条が「改正」された場合の世界を想像する催しである。
アニメーション映画監督の高畑勲さんの「アニメと戦争」と題する講演もある。
(映画人九条の会事務局http://www.netlaputa.ne.jp/~ei-en/kenpou/)
【監督】 瀬尾光世
【脚本】 瀬尾光世
【制作】 松竹動画研究所 モノクロ 74分
【ビデオ販売】松竹株式会社ビデオ事業室
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