憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (155) テレビドラマ「スロースタート」
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (155)
テレビドラマ「スロースタート」
(初出2007年1月22日掲載・H.Tさん記)
ニートや引きこもりが大きな社会問題になっています。このドラマは、このような人々を支援する実在の団体の活動を描いた書籍「レンタルお姉さん」を元にしたもので、2回に渡って放送されます。
第1回では、引きこもりになった大学生の心をNPO法人「スロースタート事務局」のスタッフである未散(水野美紀)が開こうとします。未散は返事がなくても手紙を何通も出し、部屋から出てこない大学生に向かって、何時間も語りかけます。本当に粘り強いサポートです。第2回目は、ニートになった元営業マン(萩原聖人)が、未散に働くとはどういうことなのか、問います。
ニートや引きこもりは、社会からは「怠け者」という目で見られています。しかし、ドラマの出演者たちが語っていますが、本人たちは社会とつながりを持ちたいという思いを持っていることは変わりません。それゆえに、外からはわからない大きな葛藤を抱えて苦しんでいます。筆者も彼らと接した経験がありますので、よく分かります。
「個人の尊重」を最も基本的な価値とする憲法は、誰もが社会の中で自分らしい形で自己を実現させていく権利を保障しています。ニートや引きこもりの方は、自己実現から最も遠いところで苦しんでいる方々といえるでしょう。病気や障害がない限り、働くことの喜びを自らつかみ、その意欲を持たせ、それを実現させるのが家庭や教育や社会でなくてはなりません。しかし実際は必ずしもそうなってはいません。競争至上主義の現在の社会になじめない繊細な心情を持っている人、人間不信に陥った体験を持っている人など様々です。このドラマは、周囲の人がそのような方々の心の叫びに積極的に耳を傾ける努力をすることがいかに大切かを訴えています。以前、「レンタル家族」のことを紹介しましたが、ドラマに出てくるように、ニートやひきこもりの方への訪問活動をしている同じ世代の「レンタルお兄さん・お姉さん」がたくさんいるのは頼もしいことです。
なお、増えているのは、仕事を希望しているタイプのニートです。ニートというと、本人の「やる気」ばかりが問題にされる傾向があります。しかし、雇用環境や雇用条件の悪化を止め、改善し、多様な人々が社会に参加できる条件を整備しないとと、問題は本当には解決しないことが識者によって指摘されています。
【放送】 NHK総合 第1回 1月27日(土)「NOのなかのYES」
第2回 2月3日(土)「はたらく理由」 いずれも午後9:00~9:58
【原案】 荒川龍「レンタルお姉さん」
【脚本】 浅野有生子
【出演】 水野美紀/杉本哲太/近藤正臣/萩原聖人/
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