憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (172) シネマ「ヘレンケラーを知っていますか」(初出2007年4月2日掲載)
憲法情報Now<シネマ・DE・憲法> (172)
シネマ「ヘレンケラーを知っていますか」
(初出2007年4月2日掲載)

日本の子供は「先進国の中で最も孤独」―。国連児童基金(ユニセフ)が3月14日に発表した先進国(OECD加盟国のうち25国)に住む子供たちの「幸福度」に関する調査報告書で、こんな実態が浮き彫りになりました。「孤独を感じる」と答えた日本の15 歳の割合は29.8%で、2位以下のアイスランド(10.3%)、フランス(6.4%)などに比べ飛び抜けて高い結果が出ました。「自分が気まずく感じる」との回答も、日本が18.1%とトップでした。
この映画に登場する祐介(登坂紘光)もそんな孤独な15歳の少年の一人です。リストカットを繰り返し、自殺願望を持っています。
祐介は、ある日、若くして視力と聴力を失い、今は1人で山口県の山奥に暮らしている老女、絹子(小林綾子)の所にやってきます。絹子は、ヘルパーの力を借りながらも自立した生活を送っています。絹子は祐介に自分の人生を語ります。夫が先の大戦で出征し、還ってきた時は失明の身となっていました。さらに失聴も加わり、光と音を失ってしまった人生は壮絶でした。
にもかかわらず、希望を持ち前向きに生きる絹子の力強い生き様に接し、祐介は次第に自分を見つめ直し始めます。そして、ある決心をします‥‥。
絹子は山口県に実在する人物をモデルにしています。映画のテーマは、金子みすゞ(山口県の詩人、1903年―1930年)の詩「私と小鳥と鈴と」の一節、“みんなちがって、みんないい”です。人は違うところがあっていい、それは個性として認め合うことこそ大切である、という憲法13条の「個人の尊重」の根本にある考え方を明確に打ち出したこの映画は、孤独化する少年だけでなく、現代に生きる私たちみんなに大切なことを訴えています(伊藤真「世界に一つだけの花」参照)。
NHKの朝の連続ドラマ「おしん」で中国をはじめ世界中に名を知られた小林綾子が、15歳から78歳までの主演の絹子の役を一人で演じていることも話題になっています。
【映画情報】
企画・製作:2006年 日本(山口県映画センター)
監督:中山節夫
音楽:小室等
時間:105分
出演:小林綾子/登坂紘光/夏八木勲/高橋長/左時枝/倉野章子
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